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1 プロローグ
 人は死を目前に、何を考えるのだろうか?
魔怒の事?
それとも、愛しい女の事?
自分の事?
あいつは、何を思ったのだろう?


まだまだ、一緒にいるはずだった。
いきなりオレの側から離れるなんて思いもしなかった。

飲酒&居眠り運転していたトラックと衝突事故をして、救急車で運ばれる
途中すでに、死んでしまったと聞いている。

今、目の前に眠っているのは、じゃあ誰なんだ?

頭が上手く機能しない。
  目の前には、いつものように、いや、いつもより綺麗にしっかりと目を
閉じて眠っている太郎がいる。
なぜだか白いシーツを被されて………。


なぁ、おい。
起きろよ。
何で寝てんだよ?

そう思っているのに、言葉にならない。

体の機能まで上手くいかないみたいだ。

ただ、ただ太郎を見つめるだけのオレの横を通り過ぎて、大胡と鈴子がや
って来た。
碧依もいる。
他にも魔怒のメンバーが入れ替わり立ち替わり来ては泣いてる。
その中に俊介もいた。
瞬や、魔怒を抜けたやつらもたくさん。
ねぇ、なんでみんな泣いてるの?


オレの隣では志緒理が声を出さずにオレを見つめながら泣いている。

だからさ、なんで泣いてるわけ?

受け入れたくない、現実。

太郎を挟んで、オレと向かい合うようにして、キッと天井を睨みつけてる
女がいる。
そいつだけが、泣いていない。
佳織だった。

お前も、わかんねぇんだよな?
なんで、他のやつらが泣いてるのか。


現実と思いたくない、事実。

「お前のせいだっっっ!」
みんなが泣いてる中、いきなりやって来て、佳織の胸ぐらを掴むのは三崎
だった。
何が起こってるのだろうか?
よく、理解できない。
「………」
黙ったままの佳織に、さらに三崎は言葉を重ねる。
「お前が、ちゃんと受け入れてればこんな事には、、、なんで?
気づいてたんだろ?
なのに、なんで受け入れようとしなかったんだよ?」
そう叫ぶ声も、次第に涙声となってかすれてった。
だから、何で三崎まで泣いてるわけ?
いっつも冷静なお前が、何佳織に怒鳴ってたんだよ?

スベテが、一瞬で、ワカラナイ

理解シタクナイ事実

オレの心はこのまま凍結してしまった方が良かった。
あまりにもいきなりすぎて、ついていけない展開に、現実はあまりにも残
酷過ぎて………。
どんな単語も文章も、今のオレの気持ちを表すなんて事はできない。

ああ、みんな泣いている。
ココは、フリー区の集会所。
近所のおばさんたちもいる。
慌ただしく黒い服を着た人達が何用意をしている。

素通りする現実の時間なのに、オレだけが宙に浮いてるように、リアリテ
ィがなかった。

本気で、理解してないわけじゃない。
ちゃんとどこかでわかってる。
でも、受け入れるには、抵抗があって、心と頭が切り離されてしまったよ
うな感覚に囚われていた。






2004-2008©白雪姫-hime-





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