| :: MENU :: | |||||
| 1 プロローグ | 2 初舞台だぜ! | 3 涙と笑顔 | 4 速攻ゲット | 5 ルームメイト | 6 告白 |
| 7 訪問者 |
8 再会 |
9 2番目同士 |
10 涙のわけはいつも |
11ホスト |
12 復活 |
1エピローグ | | |||||
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ルージュで働き出して3日が過ぎた。 キャッチもまだ成功した事がない…。 そんなある日、オレはこの前の女と再会する事になった。 「マスター、佳織ちゃんが来ましたよ」 マスターと待機ボックス(指名がなくて、キャッチに出ていない時にあ ぶれているホストたちが待機している部屋。)で、営業の仕方なんかを聞 いてると、フロアからボーイがマスターを呼びに来た。 「そうか、じゃあ直樹も一緒につこう」 オレはマスターに言われるまま、ヘルプする為に新しく用意されたテ ーブルへと向かった。 「あ……」 そのテーブルにいたのは、この前道路で泣いてたあの左側。 大きな目はまるで犬のようにコロコロと視線を動かしながら、マスターを見 つけると、ニッコリと幼ない笑顔を作った。 へぇ、マスターの彼女なのかな? マスターもいつになく砕けた調子で喋っている。 「川上、久しぶり!!」 彼女はまるで同級生に話しかけるように、マスターに手を振っている。 マスターの名字って川上って言うんだ。 「佳織はいっつも元気だよなぁ」 彼女は、褒められた子供のように無邪気に微笑んだ。 「当たり前だよ!それだけが取り柄なんだからね♪」 もしかして、左側の彼女じゃない? あの日、泣きじゃくっていた女とは思えない程のはつらつとした笑顔。 何があったのか知らないけれど、激しく泣いていた。 あれからそんなに時間は過ぎていない。 それが、こんなにもきれいな笑顔で話なんてできるのだろうか? 「コイツ、直樹。今週からレギュラーで入ったんだ。かわいがってやって くれる?」 「あはは、新人さんなんだ!よろしく」 さっきまでマスターに向けられていた、あの幼い純粋な笑顔を彼女はオレ に向けた。 店で、こんなに子供っぽい客を相手するのは初めてだった。 どんな女の子についても、多少は男慣れしていて、指名ホストと客の騙し あいだったり、大人の駆け引きシーンだったりと、そんな事ばかり見てき た中で、初めて出会った普通の女の子に写る。 「もう、洗礼は受けたの? 初日、大変だったでしょ」 クスクスと唇に指を添えながら、彼女は楽しそうに喋る。 「洗礼?もしかして、メッチャクチャ飲まされた事を指してたりする? あんなの洗礼なんて言わないだろ?」 「あはは!洗礼だよ。ホストとして俗世間から離れるための」 俗世間と離れる? うーん、確かにそうかも。 なんか、ここ数日働いて思った事は、かなり一般と違うって事。 お客さんが、つき合ってると思っていても、ホストからしてみればただの 客ってパターンをたくさん見てしまった。 それでも、オレと年の変わらない女の子が日に何万も、何十万をお金を払 って行く。 時には何百って時もあるみたいだ。 信じられないよな。 そのほとんどが自分の身体で働いた金や、お酒を飲んで稼いだ金だって んだから、なおさら信じられない。 「おいおいっ!どうしてソコで黙るんだよ、直樹」 マスターが困ったような顔をして、佳織ちゃんを見た。 「ほら!直樹だって私の言った通りだって思ってるんだよ、ね?」 首を少し傾けながら、おねだりでもしているかのように上目使いで聞き返 されてしまった。 その仕草が、地元に置いてきた千尋とダブッて見える。 「うん。そうかもしれない」 オレの返事を聞くと満足そうに、まるで欲しがっていたおもちゃを手に 入れたような満面の笑みを作る。 ああ、ホントに子供みたいだ。 佳織ちゃんはその日場内指名をしてくれて、ラストまで居てくれたお かげで、一度もキャッチに出かけずにすんだ。 場内と言っても、指名は指名だよな? オレの初指名は佳織ちゃんって事になる。 なんか、ちょっと感動。 店が終わりに近づくと、彼女は酔っているのか、目を虚ろにさせて 少し千鳥足になりながら、チェックを済ませた。 「佳織ちゃん、一人で帰れる?大丈夫?」 エレベーターの前まで送りながら、その3メートルくらいの距離ですら、 彼女は何度も転びそうになっていた。 そのたびに、オレは彼女の身体を支えた。 「らいじょうふだよ!!」 両手を大きくふりながら、バイバイのつもりなんだろうか? ほら、また転びそうになってる。 「全然大丈夫じゃないじゃんか」 「…うん。でも、ヘッキらよ」 エレベーターが4Fで止まると、彼女は酔っ払いのまま一人でサッサ と乗り込んだ。 「じゃあ、またね〜〜〜」 「えっ!おい」 なんで、あんなヘベレケ状態のくせに去り際だけ鮮やかなんだ? うーん、疑問。 「お疲れ!じゃあ今からミーティングな」 送り出しをして、店に戻ると他のお客様もみんな帰ってしまって、従業員 だけになっていた。 このミーティングってのが、かなりキツイ。 その日の売り上げを名指しで言われて、オレは毎回ボウズ(まったく指名 がない事)だった。 「今日は、みんな指名があったみたいだし、もう終わりにしようか?」 成績発表だけをして、反省会なしで今日は終わった! そのままスーツで帰宅するホストや、更衣室で着替えるホストがいる。 オレはもちろん着替えてから外に出る。 だって、やっぱりなんか気恥ずかしい。 「お疲れ様でした」 新参者は遠慮して、一番最後に更衣室に入ったんだけど、真っ先に入室し て更衣を終えた京介さんとすれ違うような感じになった。 「……お前、佳織ちゃんとアフター約束してる?」 めずらしく話しかけられた。 初日のあの会話以来、彼と喋るのは初めてだった。 「別にしてないけど」 「ふーん、ならいいんだ」 なんなんだ? 急の質問に、訳がわからない。 戸惑ってるオレに、京介さんはさらに言葉を重ねた。 「よくいるんだけど、お前がモテるんじゃなくて、ホストって仕事をして ると女が群がってくるんだ。佳織ちゃんもそうだからな」 はっはぁん。 なんとなくわかったぞ。 「…京介さん、もしかして佳織ちゃんを好きとか??」 途端に京介さんは眉根をよせて、すごくいやな顔をした。 「オレは客には手を出さないよ! 客は金づるで、プライベートとは無関係だよ。中には、本気で客にはまる ホストもいるけど、オレからしたらこんな店に通うような女なんて要らな い」 …………キッツ。 京介さんはかなり人気があるホストで、ほとんど上位3位以内に入ってい る。 今のセリフを客が聞いたら、だいぶん離れるんだろうな…。 「かわいそうとか、思わないの?」 京介さんはその小綺麗な顔でとびきりの営業スマイルを作った。 「夢を買いに来てるんだろ?だから甘い夢をあげるんだ。でも、現実はあ げられない。 オレの時間を犠牲にして、甘美な夢を見続ける料金が、客の払う金額だよ。 オレは、色恋営業はしていないし、客だってちゃんと割り切ってると思う よ、よっぽどのバカじゃない限り」 色恋営業??????? 「…色恋って何?」 さすがに、この質問に多少ムっとしたのか営業スマイルは姿を消した。 「それくらい知ってろよ、田舎モノ!色営業ってのは知ってるよな? 英雄色好むの色。つまりSEX。その下に恋がつくって事は、客を彼女だ と勘違いさせて搾り取る事!! お前はオレの彼女なんだからって、営業法。 手っ取り早く指名になるけど、その分リスクもでかいから、おすすめはし ないけどな」 色恋営業。 なんて、エグイ。 まるで結婚詐欺と同じじゃないか。 それが、ホストなのか? 人を騙して、金にしてる…。 何か、イヤだ。 そんな事しないで、ただ楽しく飲む相手をするだけじゃ、勤まらないのだ ろうか? 「直樹って、京介さんに気に入られてるよなぁ」 やぱっり遅くに入室したのか、オレの隣で更衣をしながら、克のぼやき発言。 「いや、逆だろ? さっきだって嫌味言われてたんだぜ、田舎モノって。」 「だって、オレなんか口も聞いてもらえない…。嫌味言うだけ、認め られてるって事じゃないの?」 ……あり得ないだろう。 どこをどう考えれば、そこにどりついたのだろうか? 「認めてたら、もっと違う言い方になると思うよ」 克は悲しそうに、首を振った。 「違うよ、少なくとも京介さんの頭に直樹は存在しているけど、オレなん て影すらいない。 きっと。だから、やっぱり何か認められてるんだと思う」 ああ、落ち込んでるよ。 別に誰に認められようと、成績に関係なければ気にしなければいいのに。 「今から一緒に飯でも食いに行く?」 些細な事を気にする、克。 こういう所、すごく好きだな、おれ。 「マジで?行く行く!直樹の初指名のお祝いをしようぜ」 さっきまで拗ねていたのに、もう笑顔になっている。 地元にいたツレや健児は、みんなこんな感じだった。 素直に感情を表していた。 確かに、京介さんに最初に言われたみたいに感情がすぐに出ていたら、ホ ストなんて勤まらないかもしれない。 それでも、オレは克みたいなヤツが側にいてくれるとホッとする。 「で、何処に行く?こんな時間だからファミレスとかしか開いてないかな?」 只今の時刻朝の5時59分。 もうすぐ6時になろうとしている。 「え?ファミレスって…。 どこでも開いてるよ、この時間だと卸市場付近に行くと、新鮮な魚料理と か出してる店もあるし、普通に居酒屋もまだ開いてるけど…、オレは もう飲みたくない…」 「あはは、二人とも相当酒臭いんだろうな!」 二人で、どこに行くか話ながら歩いていると、前方にケンカをしているカ ップルがいた。 「待てよっっ!!」 男の方はホストだろう、ダークな色のスーツを着ている。 「関係ないでしょ?もう構わないで!」 逃げようとしている女の腕を、ホストは器用に捕まえてそのまま抱きしめた。 「……」 うーん、痴話げんか? 朝から、大変だなぁ。 そう思いつつも、ついつい野次馬根性で気になってしまう。 「あれ?あの女の人、佳織ちゃんじゃない?」 克の何気ない一言に、おれの好奇心はサラにアップしてしまった。 注意深く見るとホストの腕に抱かれながら、泣いているのは確かに佳織 ちゃんだった。 「お願いだから、こんな事しないでっっ!」 その腕から逃れようと必死でもがいているけど、到底男の力の方が強い。 しかも、佳織ちゃんはさっきまであんなに酔っていたんだし。 「…んっ!」 もがき続ける佳織ちゃんに、ホストは強引に自分の顔を傾けて、キスをし た。 生ちゅー。見てしまった…。 「いやっっ!!」 のけぞるようにして、なんとかキスから開放された佳織ちゃんは、この前 みたいに、大きな瞳からポロポロと涙の粒を落とし始めた。 「もう、やだっっ!!」 ホストは、膝を折りその場で泣き崩れる佳織ちゃんに、ゆっくりと自分の 身体を重ねるようにしゃがみ込んで、彼女の髪の毛を優しくなでながら、 何かを言ってるのだろうか? 佳織ちゃんは時折首を左右に振っている。 「私に触らないで!!」 「………」 無意識のうちにオレは佳織ちゃんの近くまで行き、彼女の腕に触れた。 「立てる?」 涙でグチャグチャになった目をこすりながら、彼女は驚いた表情でオレを 見た。 「直樹…くんだよね?」 「うん」 オレの腕につかまるようにしながら、ゆっくりと彼女は立ち上がった。 道ばたに座り込んだせいで汚れてしまったスカートや、膝の埃を払ってあ げながら、彼女を泣かせたホストの顔をチラリと見上げた。 「こんな往来で、何やってんだよ?」 そう言った瞬間、オレは言葉を失った。 バチリと目があったその男は、鋭い目でオレを殺しそうな勢いで睨んでい る。 今まで見た、どんな男よりも綺麗に整った顔立ち。 弧を描くように整えられた眉、その下から奥二重の三白眼が鋭く突き刺さ ってくるようだった。 「誰?こいつ」 薄い唇から発せられたそのひと言は、酒やけでもしてるのだろうか? かなり低くて、こもっている。 「隆史には、関係ない」 涙声で俯いたままの佳織ちゃんは、冷たくひと言つぶやくと、オレに無 理矢理作った笑顔を向けた。 「ごめんね、みっともない所見せちゃったね。 もう、大丈夫だよ」 まだ涙も乾いていない目で、引きつった唇で、彼女は健気にも笑って大丈 夫だと言ってみせる。 「ホントに?」 「うん…」 そんなわけないだろうに…。 強がってみせる彼女が、かわいく見えた。 「じゃあ、行くよ…?」 「うん。」 嘘つきな女。 素直に甘えればいいのに、不安そうに目を潤ませてオレをジッと見ている。 そのくせに、大丈夫だとうなずいている。 そのいじらしさが、すごく痛々しい。 「彼氏、なの?」 オレの質問に、彼女は小さく首を振った。 それが気に入らないのか、ホストはまた佳織ちゃんの腕を掴み、自分の方 へと向き寄せた。 「彼氏だよ!佳織はオレの女なんだ、コレは二人の問題だから部外者は 黙っててくれない?」 彼はオレに一瞥すると、その腕に佳織ちゃんを抱きしめながら、耳元に唇 を寄せる。 「やだ!そんな事しないでっ! 隆史は私の彼氏じゃない!!」 必死の抵抗も虚しく、彼女の唇はいとも簡単に塞がれしまった。 彼の唇のよって…。 オレに見せつけているのだろう。 ホストは佳織ちゃんの唇を割り、舌を絡ませながら、オレを見ている。 「そんなことばかり言ってると、嫌いになっちゃうよ? 素直に認めろよ、オレを好きだって」 激しいキスをされて、息が乱れている佳織ちゃんはもう反論すら出来ない 状態になっていた。 「………」 普通の男がこんなセリフを言ったら、あまりのナルシストぶりに笑ってし まうところだけど、半端じゃなく美形なコイツが言うと妙にリアルで、 もしかしたら佳織ちゃんは彼の事を好きなのかもしれない、などと思ってしまう。 「私の気持ちなんて関係ない。 私と隆史は恋人じゃないって、言ってるの! お願いだから、これ以上私に構わないでよっ! 頭がおかしくなりそう…、 ただでさえ、かなり飲んでるのに」 やっと整いかけた息でそれだけを言うと、彼女は彼の腕をふりほどい て、オレの後ろへと隠れた。 ギュッと、スーツの背中を握りしめたのだろう。オレの背中が張った。 「これからアフターする約束なの!」 彼女のかわいらしい精一杯の嘘に、彼はため息混じりにその綺麗な顔を 悲しそうに歪めた。 「いい加減にしろよ、なんでホストなんだよ? お前、ホストがイヤって言ってなかったか?」 「別に、つき合うとかじゃないもん! 楽しく飲んで遊ぶだけだもんっ!」 「……勝手にしろよ……、もう…いいよ」 それだけ言うと、彼はクルリと背中を向けてサッサと歩き出した。 一度もコチラを振り返りもせずに。 「…っく、うっ……っく」 そんな後ろ姿を見ながら、佳織ちゃんは再び泣き始めた。 「ごめ、んね、時間とらせて…。 克くんと約束してたんだよね?さっきからあそこで待ってるみたいだよ」 泣きながら、彼女はビルの階段に腰掛けてる克の姿を指した。 「あ、忘れてた!!」 やべっ! オレは慌てて克の元に走った。 「ごめん!なんかトラブってたみたいだったから……」 「おれはいいけど、佳織ちゃん、大丈夫? 朝飯、今度にしようか?」 少し離れた所に置き去りにしてしまった彼女へと視線を走らすと、彼女 はもう帰路を歩き始めていた。 まだ、泣いているのだろう。時折、肩を上下に動かしながら…。 あまり泣き顔なんて見られたくないだろうし、もうソッとしておいてあ げたかった。 「大丈夫だと思うよ、行こうぜ!飯」 ルージュで飲んでる時は、あんなに楽しそうにずっと笑っていたのに、 彼女はどうして……。 やっぱり、この前泣いていたのも、彼女だったんだろう。 「なぁ、さっきの男って………」 克は好奇心に目をキラキラとさせている。 「何?」 「隆史じゃなかった? 一瞬しか見えなかったけど、多分」 「知り合い?」 克は滅相もない!と大きく否定しながら、教えてくれた。 彼は、ホスト業界じゃちょっとした有名人で、どこまでがホントかわから ない伝説をいくつも持っているような人だった。 「やっぱりすごいよなぁ、あんな所で平気でキスしちゃうなんて。他の客 が見てても、ちゃんと言い訳できるんだろうな」 変な所で感心してる克。 「佳織ちゃんは、客なのかな?」 あの最後に見せた彼の悲しそうな顔、オレに見せつけるようにキスした のは、嫉妬からじゃないのか? あの、鋭い視線も…。 「そりゃそうだろ! スーパーホストだぜ!」 スーパーホストって、何なんだ? どうせならカリスマホストとかって言えないのだろうか? ただの客なんだろうか、ホントに? いくら有名だと言っても、一人の男にすぎない。 誰かに甘えたくなるときだってあるだろう、そんな存在が佳織ちゃんな んじゃないだろうか? オレは飯を食いながら、色々な想像をしていた。 佳織ちゃんが、幸せだと思えるような想像ばかり。彼女が、ヤツの客じゃ ないって前提で。 クリスマス企画に直樹も参加してるのに、 人気投票では・・・(涙 いっちょ、頑張ってくれ〜〜〜〜ってな思いで、 急遽、HPに更新しちゃってます。 だから、まだ完結していないので、気長に完結するのをお待ち下さいませ |