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「そんなのおかしいじゃないっっ!!」
久しぶりに登校すると、私の居ない所で、全然わけわかんない事になって
いた。
「仕方なかったんだって!
じゃないと、佳織が停学だったかもしれないんだよっ」
職員室まで抗議しそうな勢いの私を、和美は無理矢理に座らせた。
入院をした事で、公になってしまった私の妊娠。
それと、田所愛が私を階段から落とした事が警察に通報されてしまい、
彼女の退学が決定と同時に、何世紀前に作られたのか聞きたい
「不純異性交遊」に該当するために、私の停学も決定していた。
だけど、隆史はその事実をまったく覆してしまうような、わけわからない
事を言って、自分だけ退学になってしまった……。
「佳織はオレに無理矢理やられて、その上妊娠までしてしまった」
と………。
あり得ないのに、そんな事。
クラスメートだってみんな知ってるのに、私が隆史とちゃんと恋人してい
た事を…。
「別に停学くらい平気なのに……」
「でも、隆史くんはこれ以上佳織に辛い思いをさせたくなかったんじゃな
いの?
その気持ちを、汲み取ってあげなよ、ね」
………。
私だけ、普通に学校に通えって言うの?
そんなの変だよ。
「それと、コレは噂なんだけど…」
和美は言いにくそうに口ごもっている。
なに?
まだ何かあるの?
「田所愛がね、数人に輪姦されたって…それがこの学校の生徒も関わって
いるって噂があるの。
もし、隆史くんがそうだったら、二つの罪で退学になったのかもしれな
い……」
田所を輪姦?
なんでそんな事を……。
それに、隆史は何も言ってなかった。
退学になった事も……。
「隆史に聞いてくる!」
私は気分が悪いと言って、早速早退した。
携帯のボタンを押して、隆史へコールする。
数回音が鳴ると、隆史のきれいなテノールが聞こえた。
『佳織、どうしたの?』
「………退学になったって聞いた」
『ああ。でも佳織のせいじゃないし。
それよりも、体調はもういいのか?』
どこまでも私を気遣ってくれる隆史に、涙が出てきた。
「今、どこにいるの?
会いたいの」
『家』
「隆史!」
私は隆史の顔を見ると、抱きついていた。
「どうしたんだよ、一人だと淋しかったの?」
「うん!隆史のいない学校なんて淋しい!!」
「じゃあ、淋しくないおまじない」
隆史はまぶたに、頬に唇にたくさんのキスをくれた。
「もう、大丈夫だろ?」
「…足りないよ、いっぱい淋しいんだもん!!」
数日前まで、私は毎日この部屋に来ていた。
ほとんどをココで過ごしていた。
隆史と四六時中一緒に。
「………隆史、田所の話聞いたんだけど、ホントなの?」
「…オレはヤッてないけどな。友達に頼んだのはホント。
和美ちゃんから、佳織をあんな目に遭わせたのがアイツだって聞いて、
殺してやろうかと思ったんだけど…」
「……そっか」
隆史も、赤ちゃんを欲しかったのかもしれない。
私は、自分の事で精一杯だったけど、隆史も赤ちゃんを望んでいた。
私たちは、大切なモノを失ってしまった。
ホントに、大切な小さな命。
「だから佳織はもう、アイツに何もしちゃダメだよ。お前は自分で復讐しそ
うだもんな」
「しないもん」
隆史がせっかく守ってくれた学生生活、ちゃんと真面目に通うよ。
何もしない、退学も停学もしないように、ちゃんと通うよ。
「そっか」
隆史は、いつものように意地悪そうに目を細めて微笑んだ。
「うん」
会話が弾まない。
もう、何を喋ればいいのかわからない。
「学校、ちゃんと行けよ」
「うん」
………。
………。
………。
また沈黙。
「身体、大丈夫か?」
「うん」
さっきもしたよ、その会話。
私たちは、もしかしてとてつもなく、スレ違ってしまった?
ふと、そんな不安が心をかすめる。
どこかで、何かが変わっている…。
多分、隆史が私のセイで退学なってしまった事や、赤ちゃんを失った事が、
二人の関係に修復不可能な溝を作り出したのかもしれない。
二人の間には、愛情意外に、同情っていう名の感情が交じってしまった。
お互いに、同じような傷を作って、なめ合うようにつき合う事は、二人にと
って恋愛じゃなくなってしまう。
私たちは、同情と愛情の区別も知らない。
けれど、100%の愛情じゃなくなってしまった。
それが、酷く悲しい。
隆史とは、愛情だけでつき合っていたい。
それは、私だけの我が儘?
違う、多分…隆史も同じような感じ方をしている。
だって、さっきから私たち、触れあっていないよ。
おまじないのキスしかしていない。
手もつないでないし、肩を抱き寄せられる事もない…。
淋しい………。
涙が、こみ上げてくる。
「…隆史……」
「………」
もう、つき合えないんだね…。
私は大切なモノを二つもなくしてしまうんだね。
赤ちゃんと隆史と……。
「……キスして」
私たちは、最後の口づけをした。
隆史の綺麗な顔が傾いて、私に近づいてくる。
この角度から見ても、綺麗だね。
涙で、霞んでよく見えないけど、でも…覚えておくよ。
「「さよなら」」
一つに重なった声。
こんな時にだけ、同じ事を考えるなんて……。
今度こそ、涙が止まらなければいい!!
神様が、一緒に泣いてくれてるのかな?
雨まで降って来た。
いつまでも降り続ければいい!
私の涙を隠してくれる…。
大好きなの!
今でもこんなに大好きなのに…。
別れたくなんて、なかった。
でも、もうつき合えない……。
隆史と一緒にいると、イヤでも思い出されてしまう。
赤ちゃんを産めなかったことを…。
2年後
私は隆史が守ってくれた学生生活を無事終えて、ちゃんと卒業した。
週末だけだったバイトを毎日にして、私はホステスとして、ちゃんと働
きだしていた。
「お疲れ!今日はどうする?」
仕事が終わって、私は和美と一緒に飲みに行くのが日課になっていた。
居酒屋だったり、ホストクラブだったりと、色々だったけど。
「うーん今日は、新規開拓でもしない?
雑誌に載っていたホストがあるんだけど、ソコ行ってみようよ!」
へえ、おもしろそう♪
和美に進められるまま、私は「EDEN」と言う名の店へと歩き始めた。
よく教育されたウエイターに席まで案内されながら、内装に目をやると、
金色のシャンデリアに革張りのソファー。
成金趣味にならない程度の上品さがある。
バブルの再来を感じさせる、雰囲気を作っている。
「少々お待ち下さい」
ウエイターはお辞儀をして、姿を消した。
いよいよホストの登場ね♪
これだけステキな店だし、ウエイターにまで教育が行き届いてるって事は、
ホストにも期待できそう♪
ドキドキと胸を弾ませて待っていると、派手な黒のスーツを着たホストが
近づいて来る。
シャンデリアのまぶしさで、顔がはっきりと見えない……。
一瞬、目が眩む。
順応していくのが早いか、近づくのが早いか、逆三角形の輪郭が見える。
柔らかそうな茶髪の前髪から覗くくっきりとした二重の三白眼。
薄い唇。
……。
何度も夢に見たその顔。
忘れようとしても、忘れる事ができない、残酷なまでに整った美しさ。
隣の席で和美が息を飲んだのがわかった。
私もビックリしている。
ああ、夢じゃないよね?
夢なら醒めないで欲しい。
一生、見続けていたいよ、こんな夢なら。
祈るような気持ちで目を閉じた。
夢じゃないよね?
もう一度目を開けると、綺麗な三白眼で微笑むホストが目の前にいた。
「いらっしゃいませ」
甘い香水の匂いと、危険な香りを交錯させながら、二人の再会は成立した。
戦いが始まる……甘美な誘惑の…。
ここまで読んでくれてありがとうございました。 引き続き「ホスティボーイ」を連載します。 気が向いたら感想なんか↓から一言もらえると、 すごくうれしいのでお待ちしています♪ 実はいじめの内容、半分実話なんですよね 嫉妬が絡むと女って何をするかわからない 怖いですよね〜〜〜。 でも、どんなことにもめげない強さが欲しい! いじめになんか負けたくない そう思ってくれればうれしいいです。 一言↓からもらえるとすごいうれしいです(^.^) |