デンジャーボーイ
デンジャーボーイ

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1 プロローグ 2 ナンパな出会い 3 二人きり 4 香水 5 いじめ 6 ついにブチ切れ?!
7 優しい彼氏 8 疑惑の香り 9 お金持ち 10 結婚 11 再び登場?? 12 エピローグ

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6 ついにブチ切れ!?

 あれ? 
気がつくと、私は隆史のベッドで腕枕されていた。 
「……もしかして、寝ちゃってた?」 
「うん。かなりぐっすりと」 
腕枕を引き寄せるように、私の顔を自分の胸に抱きしめられた。 
プラチナムの匂いが私を満たす。 
「ごめん!昨日あんまり寝てなかったから…」 
「いいよ。なんか安心して眠ってる佳織がかわいかったし」 
うあぁ、かなりテれる。 
どうして、こんなに歯が浮きそうなセリフを真顔で言えるんだろうか? 
「でも、重たかったでしょ?」 
ソファでビデオを見てたんだから、ベッドまで運んでくれたって事だよね。 
ショック。 
ダイエットしとけば良かった。 
「全然余裕!それより、もう8時だけど、晩飯一緒に食べる?」 
「今日は、家に帰るよ」 
ばあちゃんに何も言って来なかったから、こんな時間まで帰らないと心
配してそう。 
「なんで?もう少し一緒に居たくない?」 
上目遣いで、誘うように私を抱きしめる腕に力が入る。 
 そりゃ、一緒に居たいけど………。 
「オールとかする日は、一応先に連絡してるんだけど、今日は多分、ば
あちゃんがご飯作って待ってると思うんだ」 
「おばあちゃんとオレじゃあ、オレが負けるんだ?」 
な、なんでそうなるの? 
………。 
おばあちゃんと隆史なんて比べた事ないし…。 
それに、比べようがないんじゃ? 
「そこで黙んなよ。オレがいじめてるみたいじゃん」 
みたいじゃなくて、立派にいじめられてるってば!! 
「いいよ、今日は帰っても」 
と、言いながら隆史は、私を見ようともしない。 
うーん、拗ねてるのか怒ってるのか微妙。 
やっぱここは、ばあちゃんに謝って、もう少し隆史と一緒に居た方がい
いのかな? 
……いや、やっぱり帰ろう! 
最近、朝帰りばかりしてるし、いい加減ばあちゃんにも呆れられてしまう。 
それに、これからも朝帰りすることが有る事を願って、おとなしく帰ろう。 
玄関で靴を履こうとしてると、やっと隆史が私を見送りに来てくれた。 
………と、思ったら。 
「マジで帰るんだ? 
オレ、淋しいのに…」 
………。 
負けた! 
「やっぱりやめる。帰らない」 
どうしてこんなに意志が弱いのかしら? 
隆史のセリフに敵わない。 
きっと、これからもこんな風に私は、隆史に合わせてしまうんだわ。 
「いいよ、無理しなくて。 
その代わり、明日はずっと一緒な?」 
「ホントにいいの?」 
隆史はニッコリと優しく笑った。 
やっぱり、最高の彼氏だ!! 
「ああ、送るよ」 
すごくご近所なのに、きっちり家の前まで隆史は送ってくれた。 
 永遠にこの道が続けばいいのにって思ってしまう。 
そしたら、ずっと手をつないで歩けるんだもん。 
「じゃあ、また明日」 
玄関の前で、また小さなキスをくれた。 
触れるか触れないかの瀬戸際な軽いキス。 
うーん、何をしても絵になる男だわ。 
相手が私じゃなければ………。 
   
ばあちゃんは、少し遅く帰った私のために、晩ご飯を待っていてくれた。 
みそ汁や、煮物を温めなおして、テーブルに置く。 
「さあ、ご飯にしようか」 
「うん」 
やっぱり待ってくれてたんだ。 
帰ってきて良かった。 
私の母親が、再婚するとかしないとか、何度も男を変えるたびに、私は
無理矢理知らない男を『パパ』と呼ばされていた。 
そんな生活がイヤで、私はばあちゃんと一緒に生活するようになった。 
それからもう、4年目。 
丁度中学に上がる時からずっと、ばあちゃんは私の面倒を見てくれている。 
もちろん、頭脳明晰・品行方正とかって言うかっこいい4文字熟語とは
無縁で、どちらかというと、間逆にいた私を文句も言わずに、育ててくれ
ている。 
それが、どんなに大変か想像はつかないけど、かなり苦労をかけたことだ
けはわかる。 
 ごめんね、とは思ってるんだけど、でも、高校生の今だからこそ、多
少の無茶とかもしたいんだよね。 
 食べ終わった食器を、せめてもの謝罪の意味を込めて、洗った。 
「今日は遅くなってごめんね。んで、明日も遅くなると思うの……、
もしかしたら帰らないかもしれないから、ご飯先に食べて、寝ててね」 
「あんまり無茶せんようにな」 
「……うん」 
ばあちゃんの心配そうな顔を背中に感じながら、私は2階へと続く階段
を上った。 
制服のまま、隆史の部屋で寝てしまったから、シワがついている。 
ソレをハンガーにかけて、シワ取りをした後、久しぶりに宿題でもしよ
うかと、かばんから教科書を取り出した。 

「な、に……コレ?」 
取り出した英語の教科書には、覚えのない落書きがあった。 
ページ一面にデカデカと「死ね」だとか「ブス」だとか…。 
授業中は教科書を開く事もなく、ひたすら寝ていたから、分からなかっ
たけど、いつの間に、こんな落書きされたんだ? 
どうせならもっと、アートな落書きしてくれよ!! 
これじゃあ、本来の文章すら読めないじゃんか。 
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。 
隆史とつき合うって、こんな事まで覚悟しなきゃダメなの? 
そりゃ隆史が女癖悪いとかってのは、ちゃんと覚悟していた。 
それが案外隆史は彼女を優先して、ほかの女の子よりも大事にしてく
れるって、うれしい誤算だったけど、その代わりがこの嫌がらせの数々
なのか?? 
あまりに子供じみた嫌がらせでも、こう頻繁にやられると、さすがにまい
るんだよね。 

 結局、宿題をヤル気も失せてしまい、そのままお風呂に入って寝る事に
した。 
一昨日も昨日も、まともに自分のベッドで寝ていなかったから、すんな
りと気持ち良く眠りにつくことができた。 

まぶしい日差しと共に、清々しい気持ちで目覚めた私を、ばあちゃんの
作ってくれた朝ご飯が待っていてくれた。 
「おはよう」 
純和風なご飯を食べてから、洗面所で登校準備をしていたら、今日も隆
史が迎えに来てくれた。 
「行って来ます」 

当たり前のように、私のカバンを持ちながら、片方の手で私の手を引き寄
せる。 
「今日は、ずっと一緒な?」 
「うん」 
教科書落書き事件も忘れて、私は隆史の笑顔に引き込まれた。 
ああ、幸せ。 
「昼休みも、一緒に食う? 
それなら、先に食堂で席取っておくけど」 
ああ、そんなに一緒にいたら、私はもっと隆史を好きになってしまう。 
「和美の分も?」 
隆史はうなずきながら、いたずらっぽく目を輝かせた。 
「一樹がよろこぶだろうな」 
「……和美、彼氏いるからね」 
「オレは彼氏がいてもいなくても、全然気にならないけど、一樹は諦め
そうだよな」 
え? 
そう言えば私、隆史に年齢を聞かれた事はあっても、『彼氏居るの?』っ
て真面目に聞かれていない! 
いや、見るからにいないって思われただけかもしれないんだけど……。 
「ま、昼ご飯一緒に食べるくらい、友達だってあるだろうから、平気じゃ
ない?」 
私の意見が気に入らなかったらしく、隆史は軽く私を睨んだ。 
「オレ以外の男友達と一緒に飯を食うのは、ダメ!それって普通じゃない!」 
うわ、私って愛されてる? 
コレって束縛って言うんじゃ? 
「食べない!これからは食べない!」 
慌てて否定をした。 
今までどんなステキな彼氏がいても、全然平気でほかの男とご飯どこ
ろか、飲みに行ったりしてたんだけど、隆史の束縛は私にはうれしい限り。 
思い入れが違うと、こんなにも私の受け止め方も違うなんて、思わなかった。 
「いいこ、いいこ」 
隆史は私の頭をまるで子供にするように、撫でてくれた。 
プラチナムの匂いが、私の鼻孔をくすぐる。 

「じゃあ、昼休みにな」 
握っていた手を放して、それぞれの教室に向かった。 
学校近くから、ずっと嫉妬の視線や、憎悪の視線を浴びていたけど、それ
すらも苦痛じゃなかった。 
隆史が隣にいるだけで、私は幸せ。 

「また、とろけそうな顔しての登校だね」 
めずらしく私より先に来ていた、和美は彼女らしいニヒルな笑顔をくれた。 
「うん。お昼も約束したの! 
だから、和美も一緒だよ?4人分席を取っててくれるんだって」 
ああ、早く昼休みにならないかしら? 
「はいはい、わかりましたよ。 
4人って事は一樹くんも一緒なんだ。 
いつもツルんでんの、あの二人?」 
「さあ、興味ないから知らない」 
隆史以外、まったく興味がない! 
コレは仕方ないよね。 
もう、頭の中は隆史でいっぱいいっぱいなんだもん。 

今日は1時間目から、体育。  
なんで、学校の体操服ってこんなにダサイんだろう? 
仕方なく、ダッサイ体操服に更衣を済ませて、グランドに出た。 
今日は、ハードル。 
ちょっとラッキーかも。 
ハードルって、ほかの生徒が競技をしてる間は何もしなくていいから、
楽なんだよね。 
2本タイムを計ると、終業のチャイムが鳴った。 
やった! 
体操服とさよならだぜ!! 
教室に戻って、更衣をしようとしたんだけど、またまたトラブル発生! 
ないのよ! 
今度は私のネクタイがない。 
数年前までセーラーだったのをブレザーに替えて、女子も男子もネクタ
イを着用なのに、どこかに消えてしまった。 
 ………。 
さっきまではちゃんとあった。 
それが無くなるってのは、やっぱり嫌がらせの一種だよね。 
生活指導の先生とかに見つかるとウザイし、購買で買って来ようかな。。。 
ああ、憂鬱! 
なんで私が、誰かのいたずらの為にお金を使わなくちゃいけないんだろ? 
やっぱり、今日はノータイでいいや。 
 開き直りと言うか、居直りが早い私は、むかつきながらも、そ
の日一日をノータイで過ごす決意をした。 
でも、嫌がらせってこんな事じゃ終わらなかった……。 

「杉山………」 
3時間目の半ば、隣の席の男子が小声で私を呼ぶ。 
「っっん?」 
振り向くと、隣の生徒は小さな紙切れを私の机の上に飛ばした。 
 授業中に届く、ノートを千切った手紙だ。 
ご丁寧に、ハートに折ってある。 
こんなかわいいことするのって、和美じゃないのは確かだ。 
誰からだろう? 
少しワクワクした気持ちで、手紙を開くと、たった2文字『殺す』 
…………。 
「ああはっはは!」 
思わず、私は笑い出してしまった。 
それも授業中だというのに、大きな声で。 
「杉山、どうした?何がそんなに楽しいんだ?」 
黒板に向かっていた先生が、私に近づく。 
「こんな手紙が回って来たんです。 
コレって、明らかな脅迫ですよね。 
私、この手紙の犯人を調べてもらいたいんですけど」 
先生は、私の手から手紙を取って、マジマジとその紙切れを見つめる。 
「返してもらえます?ソレってちゃんとした証拠になるので、後々必要
になるかもしれないし」 
「え?」 
子供じみた嫌がらせでも、ココまで来れば、十分に悪意だわ。 
許さない。 
「さっき言ったでしょ? 
はっきりとした脅迫だって! 
だから、弁護士に依頼して、刑事訴訟を起こします。 
これだけの嫌がらせをしたんだから、それくらいの覚悟はできているだろ
うしね」 
これだけ言い終わると、私は教室を眺め回した。 
真っ青になってる女の子発見。 
よく見ると、彼女はお弁当事件の時の愛だった。 
アイツが犯人か。 
かなり陰険だよ、これって。 
「イヤ、杉山何もそこまで…」 
先生も私の勢いに押されたのか、慌てて、私を止めようとする。 
「そこまでって何がですか? 
逆に言いますけど、ココまで酷い事をされたのは私なんです!しかも朝
の体育の時にはネクタイまで無くなるし、被害者は私なんです。 
それを、先生は加害者の肩を持つんですか?」 
「いや、そうじゃない! 
ただ、冷静になってだな……。ちょっと落ち着こう、な?」 
何が冷静になってだよ。 
先生が一番オタオタしてんだよ! 
私はいたって冷静だい! 
「そうですね。この件は私の問題ですもんね。授業を止めてごめんなさ
い、先生はどうぞ授業に戻って下さい」 
ふんっっ! 
頼りにならない、大人だ。 
ああ、イライラする! 
ホントに裁判起こすぞ、こら! 
「いや、今日はもう自習にしよう。 
みんなもそれでいいよな?」 
そう言うと、先生はさっさと教室を出て行った。 
 結局逃げるのか? 
ま、いいや。 
犯人も、相当焦ってるみたいだし、今の段階じゃこの辺で許してあげよう。 
「なぁ、お前マジで裁判するの?」 
「え?」 
さっき私に手紙を回した生徒が、先生がいなくなった途端に、話しかけて
きた。 
「なんで?」 
「だって、ソレだったらオレ、証人になるのかなって。ちょっと楽しそう
じゃん」 
………。 
楽しそうって、アンタ。 
「証言してくれるんだ?」 
「もちろん!で、さっきの手紙の内容ってどんななの?」 
なんとなく、面白い展開になって来たぞ。 
「見たい?」 
「うん」 
この会話を私たちの後ろに座っていた生徒も聞いていて、身を乗り出して
来た。 
「ほら…酷いでしょ?もう、悲しくって………」 
わざと泣きそうな顔で、目までウルウルと潤ませながら、私は手紙を開い
てみせた。 
「ゲッ!何コレ?かなり陰険じゃん」 
「ひっでー」 
口々に、男子生徒が、私に同情してくれる。 
私に嫌がらせをしていたのは、まだ一部の女子だけ。クラス規模や、
学校規模でのいじめじゃない分、早く騒ぎにした方が味方が増えそう。 
特に、男なんて女の涙に弱いんだから! 
私は目にいっぱい涙をためた。 
「他にもね……」 
落書きされていた教科書を見せた。 
見せたって言うより、見せびらかしたって心境だけどね。 
「女って陰険だよなぁ。杉山、一人で耐えてたんだ?かわいそうに」 
同情されるのは、好きじゃない。 
でも、同情を利用しないのは、もったいない。 
「……」 
涙を拭くふりをしながら、チラリと愛の方へ視線を送った。 
かなり、顔色が悪い。 
ふん! 
もっと、苦しめ! 
「佳織、一体何があったの?」 
自習になって、生徒たちが騒ぎ出した頃、和美が私の席に来た。 
「っん、ちょっとね」 
意味ありげに言うと、周りに集まった数人の生徒が私の手紙の内容を
和美に報告してくれた。 
「佳織、大丈夫?」 
和美が、覗き込むように私の視界に写る。 
目が、笑ってる。 
「うん」 
和美には、私の演技バレバレみたい。 
各自それぞれ、自習を楽しんで居る中、着々と私は味方を増やした。 
隣席のそのまた隣。そしてその前後と、8人程度の生徒が、私に同情して
いる。 
わっはっっは、ざまあみろ! 
犯人が誰かはっきりした時、今度はあなたがいやな気分を味わえばいいのよ。 

チャイムが鳴ると途端に、校内放送がなった。 
「1年3組、杉山佳織。至急校長室まで来なさい」 
うわっ! 
職員室も、生活指導室もすっ飛ばして、いきなり校長室にご指名ですか? 
「大丈夫?着いて行こうか?」 
口々に、みんなが心配顔している。 
私は、はかなげに微笑みながら、首を振った。 
「大丈夫、一人で行けるよ」 
我ながら思う、私って女優かよ? 

校長室のドアをノックして、入室するとさっきの教科担任に、私の担
任青木。それから生活指導と校長がいた。 
「話は宮本先生から聞いた。 
訴訟を起こすって、本気か、杉山?」 
青木が私の隣に並んで、校長と向かうように立った。 
「………、脅迫って、法律に触れるんですよ。 
ケンカや万引きと同じく、刑事処罰の対象ですよね?」 
「そうだが……。」 
「いや、でも裁判までしなくても、話し合いで済まないのか?」 
校長先生が、青木の言葉にうなずいている。 
「先生たちは、万引きしている生徒を見つけたら、その店にそうやって
お願いするんですか?」 
「……いや」 
話にならない。 
ちゃんと話をまとめてから、私を呼び出せばいいものを。 
「私、この手紙以外にもいじめられてるんです。教科書や机に落書き
されたり、ネクタイがなくなったり。それでも我慢しなくちゃならないん
ですか?」 
再び、嘘泣きで訴えてみた。 
「いや、そうじゃない。 
我慢はしなくてもいいんだ」 
生活指導の先生だけが、私の側に立って意見してくれそうだった。 
「だったら、別に私が校長室に呼び出しされる必要ないじゃないですか」 
「……そうなんだが、裁判というのは、ちょっと飛躍しすぎじゃないか?」 
「酷い!!私がいじめられてるのを、先生たちは泣き寝入りしろって言って
るんですか? 」 
私は自分の顔を両手で覆った。 
肩を動かして、しゃくり上げるように泣いてみせる。 
「杉山、落ち着いて。な? 
それに、ホントにいじめがあったのかどうか、ちゃんと確認していない
し……」 
青木のこのセリフには、さすがに私も頭に来た。 
「いじめってのは、被害者がいじめられたと感じた瞬間から始まってるんです! 
そんな程度の認識しかないから、ドンドンいじめは蔓延するんだわ! 
このまま私が自殺でもしなきゃ、学校側は取り合ってくれないって事ですね? 
もう、いいです!!!」 
「いや、待て」 
校長先生が、やっと口を開いた。 
「さっき、杉山が言ってた通り、これは法律に触れる行為だったとし
て、それなら学校側も、なんらかの処置をしなくちゃならないと思う。 
だから、この件は学校にまかせてくれないか?」 
やっと、結論にたどりつきそうね。 
私の頭の中には、もう、結果は決まっている。 
「わかりました。でも、告訴するにも時効があって、内容証明を送った
りと色々あるんで、三日だけ待ちます。三日たっても、何もなければ、
その時は予定通りに訴訟に踏み込むって事でいいですか?」 
「三日、か」 
生活指導の先生は納得したようにうなずいたが、青木は首をひねっている。 
何よ、権力に弱い男ね、ホント頼りない。 
どうせ、自分のクラスから停学者とか出して、出世に響くのがイヤなだけで
しょ? 
「じゃあ、とりあえずは三日待ってくれな。 
頑張って犯人を捜して、それから連絡する。 
それで、いいか?」 
生指の先生は、私の意見を認めてくれた。 
 むかつく事なかれ主義の担任に、最後のダメ押しをした。 
「はい、わかってもらえてうれしいです。 
私だって、できるなら訴訟とかマスコミにリークとか、したくないし」 
ふん! 
子供のコネクションをなめんじゃねぇ! 
大人の利害が絡みまくったコネなんかより、よっぽど広いんだ。 
マスコミだって、おもしろおかしくいじめ問題なら飛びついて来るに決まってる。 
マスコミという言葉でかなり動揺した校長と、青ざめている青木を横
目に、私は校長室を後にした。 






2004-2005©白雪姫-hime-