ラストボーイ
ラストボーイ

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1 プロローグ 2ベッド 3 家族 4 不妊 5 天使か悪魔 6 シングルマザー
7 ホスト 8 依存的幸せ 9新婚ブルー 10 蜜月 11 12 エピローグ

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11

 沖縄後半は、万座のプライベートビーチで二人で海を満喫した。
どこまでも果てしなく水底が見えるきれいな淡いブルーな海。
珊瑚礁までが見渡せるくらの透明度に感動をしながら、二人で水着になっ
てじゃれあったり、マリンスポーツを楽しんだ。
隆史が選んで買ってくれた水着は少しきわどいビキニだったので、最初は
ちょっと恥ずかしかったけれど、いつの間にかそれすらも忘れて楽しんで
いた。
「水が温かいねぇ」
「すっげぇキレイなのに、やっぱしょっぱいんだな。さっき思い切り水が
入ってしまった」
苦そうな顔をして、舌で唇をペロリと舐める隆史
「そうなんだ?」
「おう」
旅先だからだろうか?
開放的な気分になれる。
上半身裸の隆史に、ドキドキしながらも私も海を泳いだ。
たっぷりと塗り込んだ日焼け止めは、かなり効果があったのか、日焼けの
心配もなく、楽しめる。
 鍛えられた胸板を滴り落ちるキレイな塩水。
どんな角度から見ても、いい男だと思える隆史と一緒にいる。
ほら、女同士で来てる人たちが、隆史の姿を見てるよ?
沖縄に来てからも、何度も感じる女性の視線。
もう、芸能人もびっくりするくらいの美形だもんね、でも、そんな男が私
の旦那様なんだ。
なんだか少しだけ、誇らしい。
 ちょっと気分よく、優越感に浸っていると、いきなり隆史から水をかぶ
せられてしまった。
あまりに突然だったので、思い切り水を浴びてしまう。
「ホントだ、ちゃんと塩味がする」
って、違う。
ココは怒る所だった。
「もう!いきなりかけないでよっっ」
そう言うと、隆史は笑いながら答えた。
「だって、何か幸せそうにしてるんだもん、オレもうれしくなってはしゃ
ぎたくなるじゃん」
ああ、どうしてこう、この男は素敵なんだろうか?
私が幸せだとはしゃぎたくなるだなんて、甘い甘いセリフ。
 二人でふざけあいながら、海で遊んだ後、ホテルへ戻った。
いくら水が綺麗だと言っても、やっぱり水中は同じでかなりの疲労。
 シャワーを浴びて、ローブを羽織るとそのままベッドへと直行した。
「疲れた〜〜〜〜〜」
ふかふかのベッドの上に大の字で寝っ転がってると、隆史もシャワーを終
えて、隣のベッドに同じように寝ころんだ。
「いいよな、遊び疲れるって凄い幸せ。
しかも佳織と一緒だぜ、こんなに幸せ過ぎていいんだろうか?」
ソレは私のセリフだよ。
と思いながらも、私はクスクスと微笑んだ。
「ホント幸せだよね」
甘い甘い新婚旅行は今日で、終わってしまう。
明日からはまた現実世界で、毎日のように隆史は仕事に行ってしまう。
でも、そんなことは考えないようにしよう。
せっかくのハネムーンなんだもん。
もったいない。
  一秒でも長く、隆史を感じていたい私は、必用以上に隆史の側にいた。
1ミリだって離れていたくない。
こんなに好きにさせて、どうしてくれるのよ?
好きになった私が負けなのかな?
昔、恋愛に勝ち負けがあると思っていた。
私は常に勝利者でありたいとも思っていた。
でも、そんなの今はどうでもいい。
この恋に負けても、隆史が側にいてくれるなら、それだけで私は幸せだか
ら。
「隆史、凄く凄く好きだよ。愛してる」
晩ご飯も食べて、二人でダブルベッドに寝そべりながら、私は愛の告白を
した。
隆史は、少し照れたように目を細めて私の顔を自分の胸へと抱き寄せる。
「オレも愛してるよ」
これから先、何があっても私は隆史の側を離れない。
もう、どれだけ隆史がイヤがっても離れられない。
こんな幸せを味わってしまったら尚更に、彼へと思いが深まってしまう。
こんな平和に時代に産まれて、恋にのめり込めることが幸せなのか、正直
わからない。
辛い思いもたくさんしてきた。
悲しい思いも、思い出したくないような過去だってある。
それでも、私は隆史に恋をしている。
今でも、成長続ける進行形の思い。
もっともっと、これから好きになっていくだろう。
「付いてきてね」
私の速度はかなり速いだろう。
隆史が追いつけないくらいのスピードで、あなたに惚れていく私を見放さ
ないでいてね。
ずっと、ずっと隣にいて下さい。
社会の中で、コロンやperfume を大きくしていくだろう隆史。
私は応援することしかできないけれど、疲れた時は私の胸で休んで欲しい。
ドンドンと飛躍し続けるあなたをずっと隣で見ているから、だからこのま
ま何も変わらないままでいて欲しい。
「どこに?」
不思議顔をする隆史に私は曖昧に微笑んだ。
「ずっと、私の側にいてね」
何度も願う。
何度も祈る。
望みはずっと昔から一つだった。
隆史に愛されていたい。
他の男の腕の中にいる時でさえ、私の心は隆史を求めていた。
好き過ぎて、何もかもが見えなくなってしまう私だけど、それでも隆史は
受け入れてくれた。
「いるよ、ずっとずっと。
神様の前で誓ったろ?死が二人を別つまでって。でも、オレはもっとずっ
と一緒にいるよ。
死んでも佳織を手放さない」
力強い言葉をくれる隆史。
職業柄、どんな言葉も甘くなってしまうんだろうけど、今はその甘い言葉
に酔っておこう。
幸せは、気が付いた時に逃げてしまって、すぐに不安な波に飲み込まれて
しまう私。
でも、今日は違うよ?
もう、不安なんかない。
この新婚旅行で、私の心はかなり充電できたんだ。
たくさん、たくさん隆史が一緒に心の中にいる。
ちゃんと、愛されてると実感したよ。


  その夜は、深く結ばれたと思う。
何度も愛を確かめ合ったけれど、あんなに心も体も一つにとけあったのは
初めてだったかもしれない。
それくらいに官能的で、甘く素敵な時間だった。


飛行機に乗って、帰宅した。
もう、甘い時間は終わってしまった。
でも、大丈夫。
私はかなりのパワーを充電できたと思うんだ。
また淋しくなっても我慢できるよ。
ううん、当分は寂しさなんて忘れるくらいに余韻が残っている。
ホントに、ホントに幸せなんだもん。
誰にも邪魔されずに隆史と過ごした時間が、私にどれだけたくさんの希望
と勇気をもたらしてくれただろう。
「なんか明日仕事行きたくねぇな」
ポツリと漏らす隆史に私は笑顔で答えた。
「そう思いながら、行くんでしょ?」
当たり前の日常に戻る。
ありきたりの日々。
その中で、私は小さな幸せを見いだしていくの。
それが、きっと大きな幸せに繋がるから。
  ずっと、隆史を感じていられたせいだろうか?
新婚旅行が私にもたらした幸せは、刹那てきなものじゃなくて、瞬発的な
モノでもなくて、継続される。
当分、続くだろう余韻が心地いい。
「仕事、だからな」
「頑張ってね、旦那様」
贅沢な生活なんて望んでいない。
残業なんかしないで、私と過ごす時間を増やして欲しいと願っていた。
今も、その気持ちは変わらないけれど、でもそれでも、男として、上へ上
へと望むあなたを応援したい。
どこまで行けばゴールなのかわからない、ホスト業界。
そこで、隆史は戦い続けるんだろう。
 水商売なんて、流れやすく、脆い職場を持ち続けるだけでも大変な仕事
を、大きく広げようとしている隆史を、大好きだと思う。
夢?ううん、そんなかわいらしい生やさしいものじゃない。
野望を持って、それに向かって頑張る男は、すごくかっこいい。
きっと、普通の男でもかっこよく思えるだろう。
だけど、隆史だから、私の特別な人だからよけいに魅力的に写るんだ。
「佳織のために頑張るよ!
佳織がオレに飽きないように、どんどんといい男にならなきゃな」
そんなセリフに私は笑顔で答えた。
「飽きたりなんかしないよ」
飽きる程、愛してる。
そう、愛しすぎて、困ってるんだよ。
あなたを思えば思う程、私の心はがんじがらめになってしまう。
この思いをどうやって表現しよう?なんて悩む程、愛してる。
あなたがいなきゃ、私はホントに生きていけないだろう。だって、希望も
願いも夢も、全部が隆史と一緒にいることだから。
 すべての思いが隆史へとリンクしているの。
青空を見つめるだけで、同じ空の下に隆史がいる。
ご飯を食べるだけで、隆史は今何を食べてるだろう?
些細な日常の出来事全部で、隆史を思い出してしまう私が、あなたに飽き
るわけなんてないんだ。
これからずっと、命が続く限り。
私が生きてる限り、隆史を思い続けてる。
断定じゃなく、肯定でもなく、ただの現実。私がこれからも隆史を思うの
は、予想なんかじゃないよ。
確信があるんだ。
だから、そんな心配しないでいいよ。
「隆史が鬱陶しく思うくらいに、愛してるよ」
私の言葉に、隆史は唇だけをわずかに上げて微笑んだ。
そして、挑戦的な瞳を私に写す。
「まだまだ足りねぇよ、そんなんじゃ」
いいんだね?
「もっと、もっと好きになるよ」
毎日、一秒ごとに新しいあたなを発見して好きになるんだ。
これから先もずっと、増え続ける思い。
「おう、受け止めるよひとかけらすら残さないように、全部受け止めるよ」
「うん」
泣きそうだ。
幸せ過ぎて、涙がこぼれそうだ。
どれだけ好きになってもいいの?
重いって感じないでいてくれる?
こんな恋愛間違ってるかもしれない。
結婚までしてるのに、それなのに隆史が欲しくて欲しくてたまらない私は
異常なのかもしれない。
一分でも長く一緒にいたいくらいに好き。
何をしていても隆史が好き。
「その代わり、佳織も覚悟しろよ?
オレは絶対にお前を手放さないから」
あまりにうれしい言葉で、私は隆史に抱きついた。
細い首に、腕を回して彼の体温を感じる。
愛してる、そう何度も言葉で表現しても、足りないくらいに愛してる。


  とろけるほどに甘い甘い新婚旅行の後、私はとんでもなく幸せなプレゼ
ントをもらった。
そう、神様から。


「妊娠してますね」
生理が来なかったし、直感的にわかってたけど、いざ産婦人科でそう言わ
れると、喜びが増した。
早速帰宅して、豪勢なお料理を作る。
まだつわりが来る段階じゃないから、ご飯の匂いにえづくこともない。
隆史が帰って来たら、びっくりするだろう。
 もう、存在している私と隆史の赤ちゃんがいるお腹を優しくさすりなが
ら、彼の帰りを待った。
perfume も一段落ついて、隆史の帰宅も夜中3時くらいと早くなっていた。
閉店までいなくても、店長や京介たちがなんとか店を守ってくれている。

「ただいま」
疲れた顔を見せずに、笑顔で隆史が部屋に上がる。
「おかえり」
私は極上の笑顔で迎え入れた。
「どうした?寝てなかったのか、待ってなくてもいいのに」
いつも、同じセリフな隆史に笑いがこぼれつつも私はテーブルに広がる料

理を見せた。
「何?記念日だっけ?」
不思議顔をしてる隆史に私は大きくうなずいた。
「うん!
赤ちゃん、できた記念♪」
今度は、ちゃんと産んであげたい。
もう、産んであげられないつらさはごめんだ。
だから、大切に最初からお祝いしてあげたい。
隆史と私の子供として、この体内に芽生えたことを。
「マジで?」
驚きと喜びで、私を抱きしめる隆史。
すごく、よろこんでくれてるのか、腕が苦しい。
「ホントだよ、ってか、隆史腕痛いよ」
「あっ、悪い!」
謝りながら、少し腕をゆるめて頬にいくつものキスをくれる。
「オレの子供!佳織との子供。幸せだよな」
「うん」
こんなに隆史がよろこんでくれている。
「どうしよ、オレ店なんかどうでもよくなって来ちまった」
照れ笑いをしながら、それでも私を抱きしめる腕をまだほどかない。
「女の子かな?男の子かな?」
「どっちでもいいよ、佳織が産んでくれるオレらの子供なんだからさ。
それより、触ってい?」
抱きしめる腕をほどきながら、確かめるようにソッとお腹に手のひらを当
てる隆史。
「まだ、全然わかんね」
そうだよね、まだとても小さい命、触ったくらいじゃわからない。
でもね、隆史の手かた伝わる体温は、きっと赤ちゃんにも届いてると思う
の。
体温から愛情がちゃんと伝わると思う。
「わからなくても、いるんだよ。
ちゃんと、私の体内に赤ちゃんが存在してるんだよ」
凄くうれしい。
結婚して、新婚旅行まで連れて行ってもらって、ハネムーンベイビィだな
んて、こんなに幸せ過ぎてもいいのだろうか?

「やっべ、マジでうれしすぎ!
今日はお祝いだな!」
席について、私が作った料理を二人で食べた。
少しだけならいいよね?
乾杯のためにシャンパンをあけて、二人で盛り上がった。
あ、間違い。
もう3人なんだよね?
 隆史はまだ産まれてもいない赤ちゃんの未来を予想している。
「女の子だったら絶対嫁に出さない!
オレの嫁にする」
「って、じゃあ私は?」
「あ、そうか。佳織は嫁で娘は愛人にする」
なんてバカな親なんだろうか?
親バカじゃなくて、バカ親だよ、これじゃ。
「男の子だったらどうするの?」
「んー、そうだな」
少し考えるようにしながら、ゆっくりと口を開く。
「ホストにはさせたくないから、大学まで行かせて、ちゃんと就職させた
いかな。
平凡な人生を送って、かわいい嫁さんとか見つけてもらえたらいいよな」
「えー、お婿になんてあげないよ。
ずっと、私の子供だもん」
なんて今度は私がバカな親になってしまった。
「オレらって、産まれる前から愛しちゃってるよな、子供の事」
「そうだね」
幸せな会話。
幸せすぎる会話。
ね、神様、ホントにありがとう。

今まで不幸だったかもしれない、今まで遠回りもたくさんしてきた。
でもね、そんなの全部帳消しにできるくらい、今が幸せなんだよ。
この幸せを感じるために、今までの苦労があったのかもしれないって思え
るくらいに、幸せだよ。
  私はまだ姿を見せてくれるには時間がかかる子供の命を確かに感じてい
た。
女は、体で母親を実感すると言う。
体内で、ゆっくりと、だけど待つことはない生命体。
愛しくて愛しくて、些細な動きでも体感できる程近くにいるの。
今は、誰よりも私が近くにいる存在。
痛みを伴って、生まれ出るその時まで、私だけのかわいい存在。
大切にするから、絶対に守ってあげるから、ちゃんと産まれてね?
今度こそ、私と隆史の元へ、姿を見せてね。

 隆史は毎日帰ってくると、私のお腹を撫でながら、その日の仕事を話し
かける。
私と子供に向けて。
それから私に優しい笑顔を向けてからキスをくれる。

少しだけ、マタニティブルーになりかけたけれど、隆史の優しさで乗り越
えた。
相変わらず仕事は忙しいみたいだけど、ちゃんと毎日帰宅してくれるし、
私を愛してくれているのもわかる。
何より、プロポーズの言葉にもあったように、子供が出来たことが嬉しく
仕方ないようだった。
家族。
二人だけの夫婦だった私たちが、やっと家族になれた。
夢に描いていた家族。
平凡で、何もないような日常でいい。
子供と隆史と私の3人で、通り過ぎる時間はきっと素敵なモノになるから。
ね、きっと、そうなるよね?
だって、私たち、色々なことを乗り越えて来たんだもん。
その分だけ、強くなったよ。
だから、もう何があっても怖くない。
3人で乗り越えていける自信があるよ。

「早く、産まれるといいな」
そう言いながら、日々増え続ける赤ちゃんグッズ。
産まれる前から、玩具や洋服を買って帰ってくる隆史には、ホントに心か
らよろこんでいるのがわかる。
誕生を待ち望んでいる。
 腹帯を締めて、膨らみがはっきりとわかるようになった私の体はマタニ
ティを着るようになった。
「最近のマタニティって、かわいいの多いんだね」
妊娠した時しか着ないなんて、もったいないくらいの値段するのがわかる
程かわいい服が多い。
そんな私にも、隆史はたくさんの服を買ってくれた。
もう、何もかもが幸せに満ちあふれた日常だった。
ううん、過去形じゃなく、今も続いている。
この先もずっとずっと、続く幸せ。
「マジでさ、仕事の合間に子供服見るのって、幸せ感じるよな。もちろん
佳織の服を選ぶ時も楽しいけど」
ニコニコと満面の笑みを見せてくれる隆史。
そんなにニヤけた顔、初めて見るよ。
まだ、知らない顔もあったんだね。
でも、どんな隆史も愛してる。
  たくさん嫉妬もしてきたけれど、その分たくさんの幸せをくれたのも隆
史だ。
今だって、こんな満たされた生活ができるのも隆史が頑張って働いてくれ
ているから。
嫉妬なんてしてる場合じゃないよね。
赤ちゃんも、呆れちゃうよね。
だから、ずっと笑顔でいるようにしたい。
家族が幸せになれるように、私は笑顔を絶やさないようにしたいんだ。
「私も隆史の買い物してるとき、すごく楽しいよ。
スーツとか選ぶ時、思わずニヤけてしまうんだよ?」
どんな服を着ても似合ってしまうだろう。なんてとっても嫁ばかな私はつ
いついそのスーツを着た隆史を想像して、店でにやついてしまう。
きっと、店員さんからすれば、恐い客だろうね。
「オレもオレも!
もう、やばいよな、オレらって、愛し合いすぎ〜」
冗談で言う隆史に笑いながら、私は幸せを感じていた。
もうすぐ、赤ちゃんが生まれる。
私は、母親になるんだ。
隆史と私の子供。
3人で、素敵な家族を作ろうね。
そして、平凡な幸せを描いていこう。
もう、後ろを振り向いたりしないで、前を向いて未来だけを見よう。
きっとそこには、笑顔を待ってるはずだから。
これから先、色々と悲しいことも苦しいこともあるだろう。
それでも、家族一緒なら乗り切っていける。
うん、隆史と子供と私の3人でなら大丈夫。
どんな困難も、乗り越えられるから。
  私も隆史も、家族に恵まれてた方じゃない。
でも、だからこそ、憧れる家族があって、どんな家庭にしたいかすごく夢
がある。
家族という絆に凄く凄くひかれてしまうんだ。
でも、気負ったりしないで、少しずつでいい。
ゆっくりと子供の成長を見守るように、そして私と隆史の絆も深めて行く
の。
もう、激しい恋ばかりじゃいけない。
隆史を信じてる。
見えない先の不安も、子供と一緒に乗り越えられる。

そうだよね、赤ちゃん?
あなたのパパとママは、最高に幸せな恋をしたといつか伝えられるかな?
きっと、不確かでゆらゆらと揺れる不安ばかりだろうけど、でも幸せだと
思えるよね?
矛盾した、未来予想。
だけど、なんだか私は幸せだと予想しちゃうんだ。
不安になる要素がないわけじゃない。
むしろ、考えれば考えるほど、マイナスばかりが目立ってくるけれど、そ
れでも幸せだと思うんだ。
だって、ソコには確かに子供と隆史が存在してるんだもん。


「隆史、何度も何度も言うよ。
愛してる」





2004-2008©白雪姫-hime-