隆史は相変わらず忙しくて、休日返上で働いている。
私はもてあました時間を有意義に過ごそうと色々と考えた結果、働きたい
と思った。
別にこれといった趣味があるわけでもないし、何がしたいわけでもない。
ただ、外に出て働けば、気が紛れるかなと思っただけだった。
「隆史、お昼とか仕事してもいい?」
世間ではランチタイムに、私たちは朝食と摂りながら、向かい合って座っ
ていた。
「もしかして、生活苦しかった?」
隆史は、給料を全部私に預けて、お金の管理はすべて私に任せてくれてい
る。
だから、わからないのかもしれないけど、生活するには充分な金額。
「そうじゃないけど」
こんなに毎日忙しく働いてもらって、生活できないなんて言ったら、絶対
に罰が当たってしまう。
「だったら、働かなくていいじゃん」
「ん、お金が欲しいとかじゃなくて、隆史が働いてる間、何もしてないん
だよ、私」
そりゃ、家事はちゃんとしてる。
でも、それでも時間ばかり余ってしまって、淋しい。
「いいんだよ、何もしなくて」
ニコリと微笑みながら、そう言われても、困る。
「ダメだよ、腐っちゃうよ」
「じゃあ、することがない時はオレの事考えててよ」
………。
ダメだ。
真面目に話を聞いてくれていない感じがする。
「考えてるよ!
一日、ほとんど隆史の事ばっかり考えて、でも隆史はそばにいなくて、淋
しくなっちゃうの。
だから、その寂しさを仕事で紛らわせたいの」
ちゃんと、思ってることを伝えると、隆史は少し目を伏せながら考えた
けれど、顔をあげるとやっぱり反対した。
「ダメ、佳織が働くのはイヤ」
「なんで?」
どうしてダメなんだろうか?
理由がわからない。
「………じゃあ聞くけど、例えばどんな仕事するつもり?」
深いため息をつきながらの質問に、私は頭をフル回転させた。
だって、ココで間違った答えを言えばまた反対されてしまう。
「スーパーのレジ打ちとか」
「ダメ、スーパーなんて店長は男だったりするし、男の客だっているから」
…………。
…………。
…………。
「え?」
えっと、隆史は何を言ってるのだろうか。
「だから、男がいない職場ならいいよ。
でも、結局どこも男は来るだろ?」
イライラしたように説明をしてくれる隆史を私はマジマジと見つめてしま
った。
「………私、別に浮気しないよ?」
職場に男がいても、いちいち興味ないし、ただ、ホントに隆史のことばか
り考えて淋しくなる日々がイヤだっただけなんだけど………。
「ダメ、佳織にその気がなくても、相手は違うかもしれない」
「私、そんなにモテないって!」
隆史じゃあるまいし、そうそうその気になる男が現れるわけないって。
「いや、べつにモテるとか関係なく、オレが一緒にいられない時間を、他
の男が一緒に過ごすことが許せない」
…………。
…………。
…………。
えっと、例えば女性社員だけの仕事があっったとしても、取引先の男性
社員が来ると、もうダメって事になるのかしら?
「無理だよ、まったく男が存在しない仕事場なんて」
エステでもメンズがあるし、コスメ関係も営業とかいるだろうし………。
「じゃあ、無理だね」
隆史はニコリと薄い形の綺麗な唇をわずかに上げて、でも目だけはしっか
りと私を見据えながら微笑んだ。
いや、そんな顔で無理だねと言われても………。
「じゃあ、いい。
家でできる仕事探すもん!」
今時なら、ネットでいくらでもありそうだよね?
在宅ワークって流行ってるみたいだし♪
そう思っていたのに、隆史に先を越されてしまった。
「ネットはダメだぞ。
実は出会い系でしたっってのが多いんだから!」
………。
………。
「じゃあホントに何もないじゃん!」
「だから、働かなくていいって言ってるだろ」
かなり頑なな隆史。
いつもすごぉく優しい隆史だけど、こうなると絶対に譲ってくれない。
何があっても、私が働くことに反対するんだろう。
「………もういいよ」
「じゃあ、この話は終わりな。
そろそろ店に行くよ」
私が諦めたのがうれしいのか、今度は優しい笑顔で、頬に軽いキスをくれ
てから、隆史は用意をして部屋を出た。
あぁあ、どうしよう?
隆史が働きに行ってから、帰宅するまでの時間、私は何をすればいいのだ
ろうか?
この時間なら和美も起きてるかな?
退屈しのぎに和美に電話をしてしまった。
さすがに出勤前の和美ちゃんてば、不機嫌でテキトーにしか人の話を聞い
てくれなかった。
まぁ、当たり前かぁ。
私が和美の立場でもそうだろうし………。
う〜ん、暇だ。
隆史帰って来ないかな?
何だかんだと、家事をしたり、テレビを見たり、淋しく一人で食事をし
たりで、夜になってしまった。
そして、やっぱりステキな和美ちゃんが遊びに来てくれた♪
「あのね、どうして私が佳織の暇つぶしにつきあう必用がるんだ?」
来るなり、挨拶もすっ飛ばして不機嫌な和美ちゃん。
「今日、イヤな客でも来てたの?」
何だかすごくイライラしてる。
「いつもと同じだよ、つうか人の話を聞け!
結婚して、隆史と二人きりで甘い生活を送ってるはずの佳織から、暗い声
で電話があったから心配して来てみれば、何よ。
淋しかっただけ?
ふざけるな!」
いつもと同じような和美の口調。
うーん、怒られてるんだけど、なんだかうれしかったりする。
人との会話って、すごく大切だよね。
隆史と結婚してから、喋ったのって銀行の窓口とか、スーパーのレジとか、
役所のおじさん。。。って、なんか機能的な会話しかしてない。
あっ、そう言えばこの前京介と会話したっけ?
「だぁかぁらぁ、人の話を聞いてないだろ!」
怒られてるのに、ニコニコとしてしまった私に気づいて、目を鋭くさせて
睨んでいる和美。
相変わらず綺麗な顔だなぁ。
「聞いてるよ、でもうれしいんだもん♪
こうやって和美とお喋りできるのが」
和美は特大サイズなため息をついてから、穏やかな口調に戻った。
「怒ってる私がバカみたいだ…。
佳織は結婚してもやっぱり佳織だね」
「当たり前じゃん、そんな簡単に人格変わるわけないって!」
笑う私を凝視しながら、和美はさらに言葉を重ねた。
「いや、佳織の場合隆史が絡むと簡単に人格変わるからさ」
………。
そ、そんなに変わるのだろうか?
うーん、こんな真剣に言われたら、ホントなのか?!と思ってしまう。
「そ、そうかな」
「そうだよ。
で、どうよ?新婚生活の方は」
新婚生活だって、新婚生活♪
なんかステキな言葉だなぁ。
「最高!」
そうか、私と隆史は新婚なんだ。
「だったら、夕方の電話は何?
幸せで最高な気分の佳織の声じゃなかったけど」
最高な気分の声ってどんなだろ?
ちょっと高い声だろうか?
「こんな感じ?」
頑張って裏声を出してみた。
「違うって。
何かあったから電話してきたんでしょ?」
仕事が終わって、心配でわざわざ来てくれたんだ。
でも、どうしよう。
ホントに何かあったわけじゃない。
「何もないんだよ、ごめん」
何もない。
そう、何もなくて困ってるんだよ。
「………ホント?」
心配そうに、私を見つめる和美。
私は小さくうなずいた。
「うん、ホント。
毎日何もないんだよ、することが……」
ずっと隆史の事を考えて、だけどやっぱり隆史は仕事してるから側にいなくて、
淋しくなってしまう。
欲張りなのはわかってるし、四六時中一緒にいるなんて、現実的に無理
なのもわかってる。
でも、一人で部屋にいると淋しくて………。
「………ようするに毎日暇してるって事?」
「………ん」
「パートでもすれば?」
当たり前のような回答が返って来た。
「私もそう思ったんだけどね」
今朝のやりとりを和美に話すと、かなり呆れた様子で、腕を組みだした。
「何を考えてるんだろうね、旦那様は」
おおっと、旦那様♪
新婚生活の次は旦那様★
なんてステキな言葉たちなんでしょう?
もう、うれしくなってしまう。
「旦那様か」
思わず顔をほころんでしまう。
「なぜそこでニヤける?
まぁ、収入が少ないわけじゃないのに働きたいって言う、佳織も変だけど
さ」
え?
私が変なの?
「働いちゃダメってこと?」
それが普通なのかな………。
「違うよ、専業主婦になりたいって思ってる女が多い中、珍しいねって意
味。
ま、佳織の気持ちもわかるけどね。
外に出なきゃ、覇気がないというか、メリハリがなくなりそうだもんね」
「うん、毎日一人なんだよ。
結構淋しいんだからね」
誰とも会話がないって、想像するよりも結構キツイ。
「淋しいんなら、子供でも作れば?
子供ができたら、淋しいとか暇だなんて言ってられないよ、育児と家事で
大変だから」
子供?!
そうか、結婚したし、子供ができてもいいんだ!
「隆史の子供かぁ、かっこいいだろうな」
隆史に似た男の子が欲しい。
毎日散歩にでかけて、見せびらかしちゃうんだ、隆史の子供だよっっ!
って。
いいなぁ、隆史の子供。
絶対かわいがるよ、私。
「あのね、男の子は女親に似るって言うからね」
じゃあ、女の子でいいや。
隆史に似た女の子、美人だろうな。
間違っても私に似た子供はかわいそうだな。
どうせなら、男でも女でも隆史に似てくれればいいのになぁ。
「隆史の遺伝子が入ってれば、どっちにしても間違いなく綺麗な子になる
よ!」
うん、絶対に。
「はいはい、それだけのろけられるなら、大丈夫だね」
和美は彼女らしい皮肉な笑顔でそう言うと、隆史が帰って来る前に帰っ
てしまった。
お邪魔になりたくないんだって。
ちっともお邪魔なんかじゃないんだけどなぁ。
和美だったら毎日来てもらいたいくらいだ。
まぁ、忙しいから無理だろうけど。
それからすぐに隆史は帰って来た。
「おかえり、今日ね、和美が来てたんだよ」
「へぇ、楽しかった?」
「うん」
ご飯を暖めながら、和美との話をした。
テーブルにお皿を置いて、隆史の前に座る。
「あのね、子供………っ」
子供が欲しいと言いたかったのに、隆史が驚いたような顔で私を見たから、
言葉が止まってしまった。
「まさか、できた、とか?」
ああ、それで驚いたんだ。
「違う違う!
子供が欲しいなぁって思ったの」
「………」
隆史は安心したように、頷いて食事を始めた。
あれ?
この反応、もしかして隆史は子供が欲しくない?
「………イヤ、なの?」
「イヤじゃないよ、でも、せっかく佳織と二人きりなのに例え子供にでも
邪魔されたくないなって思った」
やっぱりイヤなんだろうか?
あんまり乗り気に見えない。
「そっか、いつか自然に出来るまで待つよ、じゃあ」
別に避妊をしてるわけじゃないし、急いで作る必用もないか。
確かに、やっと二人で一緒に暮らせるようになったばかりだもんね。
自分に言い聞かすようにしながら、私は頷いた。
「じゃあ、今夜にでも挑戦してみる?」
乗り気、なのか?
てか、イヤ深く追求したくはないけど、隆史の顔はかなり艶めいている。
「子作りってやつに?」
「そう!」
隆史は、子供を作りたいんじゃなくて、ただヤりたいだけだろ?
と、思いつつも流されてしまう私。。。
食事を済ませて、早速ベッドで待ってると、隆史はシャワーを浴びて出
てきた。
やばぁい、かっこいい♪
湯上がりの男って、色っぽいんだねぇ。
腰のくびれとか、鎖骨とか全部好きかもしれない。
私ってば、この体に毎晩抱かれてたんだ?
そう思うと、なんだか今さら恥ずかしくなって来た。
「何見つめてんだよ」
「うん、いちいちいい男だなぁって見つめてた」
隆史は濡れた髪を乾かしもせずに、ベッドに入って来る。
髪から雫が伝わって、冷たい。
「ちょっ、濡れちゃうっって!
ドライヤーそこにあるから………」
「え?濡れたい?
うわぁ、佳織ってば大胆」
「………いえ、違います」
どうして、そうなるんだ?
「明日早いから、今日はあんま時間かけられないんだ、ごめんな」
いや、だから謝らなくていいっす。
え?
「明日早いの?」
思わず起きあがってしまった。
隆史はだいたいお昼過ぎに家を出て、仕事をしていた。
早いってことは朝に起きるって意味だよね?
「ああ、ちょっと胃痛がするから病院行こうと思って」
胃痛って………。
いくら現役ホストじゃないと言っても、接客をしないわけじゅない。
毎日お酒の匂いをさせて帰ってくる隆史だもん。
「じゃあ、こんなことしてる場合じゃないじゃん、早く寝ようよ!
あ、ちょっと待ってね、胃薬出して来るから、ソレだけ飲んで」
クローゼットの上にあるドラッグボックスから胃薬を出して、ミネのペッ
トボトルを渡すと、隆史は笑いながら、ソレを飲んでくれた。
「んな大袈裟な事じゃねぇよ。
心配すんなって」
でも、明日もきっとお店でお酒を飲む。
ホストはホステスと違って
「私飲めないんですぅ」とシナを作って誤魔化したりできない。
大丈夫だろうか?
「あんまり無理しないでね」
仕事だとわかっているけど、無理だけはしないで欲しい。
「大丈夫だよ、心配するな」
そう言いながら、隆史は私の頬にキスを一つくれた。
今日はいつもより早く起きて、隆史とホントの朝食を摂った。
なんだか、早起きってすがすがしい気持ちにさせてくれる。
新しい一日が始まるんだぁって、実感しながら、隆史をお見送り。
「行ってらっしゃい」
キスで見送ろうとした私に、隆史は少し考えてから言った。
「あのさ、悪いけど用事頼まれてくれる?」
何だろ?
「いいよ」
どうせ暇ッコしてるだけだし。
「オレのアパートの鍵まだ持ってる?」
隆史から貰ったモノなんて捨てることがないから持ってるに決まってる♪
大きくうなずく私に、隆史は用事を言いつけて、病院へと向かった。
昼過ぎに、隆史が住んでいたアパートに到着して、中から食器を取り出し
て、新聞紙でくるみながら、隆史に電話をかけた。
『サンキュ、じゃあ今から行くよ』
男子寮でこの食器を使うらしい。
それにしても、家具とかそのままだから、何だか時間が戻ったような気
分になってしまう。
何度も何度も訪れたこの部屋。
隆史がずっと生活していたこの部屋。
そう言えば、隆史の子供の頃ってどんなだったんだろ?
私が知ってるのは中学くらいから………。
小学校とか、幼稚園の時ってどんな感じなのかなぁ?
やっぱり、かわいかったんだろうな♪
いやぁん、想像しただけで顔がにやけてしまう。
「佳織、顔が緩んでるよ」
思わず想像の世界に入り込んでいた私を、車で来た隆史に見られてしまっ
た。
うわっ、恥ずかしい。。。
「や、ごめん!
コレでいいんでしょ?」
梱包した食器を見せると、満足そうにうなずいてくれる隆史。
「手伝ってもらって、悪かったな。
ホントはオレがするつもりだったんだけど、急に病院って予定が入ったか
ら………」
そうだ、病院。
「大丈夫だった?
病気とかじゃなかったの?」
隆史は鋭い目を上げて、優しく微笑みながら答えてくれる。
「ああ、でも検査してもらったから、また来週に行かなきゃいけないんだ。
でも、大きな病気の心配はないってさ」
そっか、安心してもいいのかな?
検査結果が出るまでわかんないけど、今の隆史の表情から、まったく不安
は感じない。
だから、きっと大丈夫なんだろう。
「それよりさ、何想像して笑ってたの?
思い出し笑いって、エロい!!」
車に食器を運び終えて、運転席に座る隆史。
シートベルトを締めながら、ハンドルを握っている。
男の人が運転してる姿って、結構かっこいいよね☆
2割り増しで素敵に思える。
「別にエロくないって、隆史の子供の頃を想像しちゃってただけ」
「………オレの子供の頃?」
少し、不機嫌な声。
あれ?
何か失礼な事でも言ったのかな?
「うん、きっと幼稚園くらいからモテまくってたんだろうなぁって思って」
「………覚えてねぇよ、んなの」
明らかに不機嫌な声。
な、何が隆史の機嫌を損ねたのだろうか?
「どうか、した?」
「……、別に、ごめん。
今回は明らかにオレが悪い」
急に我に返ったかのように、隆史はいつもの意地悪な笑顔をルームミラー
越しにくれながら、謝った。
「何で謝るの?」
さっぱりわからない。
「………オレさ、母親に捨てられたって言ったっけ?
さっきのアパートの名義人が母親なんだけど、幼稚園の頃に捨てられたか
らさ、なんかあんまり思い出したくなくて………」
そう言えば、昔聞いた。
中学に上がるまで、おばあちゃんに預けられていたと………。
「私こそ、ごめん。
無神経だった」
「いや、佳織は悪くないって。
いつまでも忘れられないオレが悪いんだし」
隆史はあのアパートから引っ越ししなかったんじゃない。
引っ越しできなかったんだ。
「………結婚の報告、しなくていいの?」
母親が借りてるアパートから、離れられなかった。
それは、唯一、お母さんと隆史を繋ぐモノだったからなのかもしれない。
「どこにいるかわかんねぇんだ。
いつもどっかの男に囲われてるような人だから」
私の母親も、いつも男と一緒にいるような人だった。
母親であるよりも、女である人世を選んでいた。
だけど、私を捨てようとはしなかった。
いつも都合のいい時だけ、母親面して、今回の結婚だって、事後報告をし
たら怒ってたし………。
でも、隆史の母親か。
「綺麗な人なんだろうね」
男の子は女親に似るなら、相当の美人に違いない。
「顔だけはな。
でも性格腐ってるよな、子供を捨てるなんて」
忘れるなんてできないよ。
自分を産んでくれた人を………。
何をされても、子供はやっぱり母親を欲しがってしまう。
家族に恵まれなかった。
そんな単純な言葉じゃないね。
自ら捨てられたと言うような、経験をしたんだね。
今なら、隆史のプロポーズの意味がよくわかる。
perfume が落ち着いて来た頃、隆史は私に
「オレと家族になろう」と言ってくれた。
私は普通にプロポーズだと思ってよろこんでいたけど、もっと深い意味が
あったんだ。
家族を知らない隆史だからこそ、言葉の重みが違う。
二人を乗せた車は、私が以前に住んでいたマンション前に到着した。
今はperfume 男子寮。
そこに食器を届けると、隆史は私を家まで送って、すぐにまたperfume へ
と戻った。
隆史の知らない家族。
私も経験したことのない家族。
どこにでもあるような、平凡な幸せを隆史にあげたい。
私が働くのを反対したのも、女は家にいてもらいたいって気持ちが強い
のかもしれない。
隆史が子供の頃に、得られなかった母性を、私は埋めてあげられるだろう
か?
わからないけど、走り続ける隆史が休める場所になりたい。
きっと、家族って絶対に離れない絆だと思う。
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