ラストボーイ
ラストボーイ

:: MENU ::  
1 プロローグ 2ベッド 3 家族 4 不妊 5 天使か悪魔 6 シングルマザー
7 ホスト 8 依存的幸せ 9新婚ブルー 10 蜜月 11 12 エピローグ

●●●
9新婚ブルー

 私の恋は、いつしか愛に変わろうとしていた。
だけど、その境目がわからずに、そして、どこから愛でどこまでが恋かな
んて、誰にも決められない事すら知らないままに、日々が過ぎていく。
 2件目であるコロンの開店を間近に控えたこのごろ、隆史はとても忙し
そうにしている。
接客もあんまりしていないらしく、レディースの香水の匂いがスーツに染
み付いて帰宅することが少なくなった。
どんどんと、経営者になろうとしている隆史。
私は、そんな隆史が少しでもくつろげるように家事をしながら、大人しい
日々を繰り広げる。
隆史を見送って、帰宅を待つだけの毎日。
その間はずっと隆史を思って、隆史の店を心配しながら、私はどんどんと
深みにはまっていくのに気づかなかった。

私の心はもう隆史しかなくて、会うのも隆史だけ。
たまに和美が遊びに誘ってくれるけれど、仕事が終わってからの夜中にな
ってしまうから、ほとんどを断るハメになった。
だって、隆史が深夜の外出を許してくれないから。
 彼は私を束縛する。
そして私はソレを愛だと思ってよろこんで受け入れている。
だって、好きだからこそ、束縛したいって思うでしょ?
私もそうだ。
隆史を好き過ぎて、誰にも渡したくなくて、いつも嫉妬してる。
だから、隆史が私を束縛するってのは、好きって証拠。
その呪縛が激しければ激しいほど、愛を感じてしまうマゾっぽい私。
「ただいま」
今日も昼近くの朝にクタクタに疲れた顔した隆史が帰ってきた。
「お帰り、ご飯食べる?」
最近は打ち合わせでそのまま食事することも多い。
でも、そういう時は必ず連絡をくれてるから、今日は食べていないはず。
「悪い、食欲ないや。
もう、すぐに寝たい」
そう言うと、スーツを脱ぎ捨てるようにしながら、寝室へと入って行った。
 相当疲れてるんだろうな。
ゆっくりと眠れるようにと、私はベッドに入らずに家事をした。
音をあんまりたてないように。
「佳織っっ!」
だけど、起こしてしまった。
「ごめん、静かにしてるつもりだったんだけどうるさかったね」
少し反省してシュンとすると、隆史は違うと大きく首を振った。
「佳織が隣にいないと眠れない………」
少し照れたように、はにかんだ笑顔を見せる隆史に、私はもうときめきま
くり、惚れまくり。
「じゃあ、隣で寝る!」
元気よく、ベッドへと進入した。
隆史の腕枕に抱かれながら、本気で爆睡してしまった………。
 これでいいのか、主婦?
もちろん、起きた時は夕方で、ばっちり昼御飯も夕食も作ってやしない。
ダメじゃん私。
いい女になる予定が、こんなダメダメ主婦ぶりを発揮してしまったら、隆
史に呆れられてしまう。
「ごめん、すぐに何か作るね」
仲良く隆史と同じ時間に目覚めてしまった私は、急いでエプロンを付けた。
「いいよ、気持ちよさそうに眠ってる佳織の顔を久しぶりに見れたから満
足!
適当に外で食うから、もう出るよ。
佳織はちゃんとメシ食ってろよ!」
って、同じ時間に起きたんじゃなくて、隆史のが先に起きてたって意味じ
ゃ?
………さらに反省。
ほんと、どうしようもないなぁ、私。
「真剣にごめんね」
「だからいいって、気にするな。
オレが一緒に寝ようって誘ったんだし、それに、行ってらっしゃいのちゅ
うくれたら、そっちのがうれしんですけど、奥様?」
ああ、本気でやばい。
惚気たい。
誰かにこの気持ちをぶちまけたいくらいに隆史を愛してる。
もう、どうしもうないよ。
「行ってらっしゃい」
唇を重ねながら、隆史を見送ってから、私は急いで夕食作りを始めた。
そして、昨日隆史が食べなかった残り物を食べて、部屋でテレビを見てく
つろいだ。
だけど、テレビの内容なんてさっぱりわからなくて、頭の中は隆史の事ば
かり。
今、コロンにいるのかな?
それともperfume で営業してるんだろうか?
どっちでもいい、どっちにしても隆史の働いてる姿を想像するだけでかっ
こがいい。
ボーっと、アイドルたちが歌いながら、ニコニコと踊っている番組を流し
ていた。
  私はこれから毎日こうやって日々を過ごしていく。
隆史を思い、隆史を愛して、いつかホントに家族だと当たり前に思える日
が来るように、隆史が帰りたくなるような家を造るのが私の仕事。
まだまだ、全然至らないけれど、だけどゆっくりとそんな家庭を築いてい
こう。
 そう、心に強く誓った。

だけど、そんなに簡単な事なんかじゃなくて、隆史を思えば思うほどに、
激しくなる恋愛感情の波は私を安住の地へと流してはくれなかった。

日々、隆史を思うたびに、強くなる恋慕。
だけど、やっぱり一人の時間が長くて、出かけると行ったら買い物だけ。
どんどん、私の心は変化していった。
知らない間に溜まるストレス。
発散したくても、発散方法を知らない。
誰にも会わない日々。
隆史だけが私の話相手。
隆史が帰ってくるまでは、何もお喋りしない。
言葉を忘れてしまいそうなくらいに、ロレツが怪しくなっていく。
思考回路はグルグルと忙しそうに動いているのに、言葉がそれに追いつか
なくなっていく。
喋り方を忘れてしまいそうだ。
敬語って、どんな風に喋ればいいの?

鬱蒼とした闇の中に、心が置いてけぼりになってしまう。
足掻いても、足掻いても、救いは隆史しかいなくて、隆史がいない時間を
もてあましてしまう。
世の中の専業主婦な、みんなどうやって時間を過ごしているんだろうか?
お友達とお喋りとかしてるんだろうか?
私には、お昼から会える友達なんていない。
和美は出勤準備か寝てるかだろうし、他に呼び出せる友達なんていない。
どうしていいのかわからない。
 早く、帰って来て。
毎日、毎時間それしか考えられなくて、どんどんと心が隆史に奪われていく。
言葉通り、隆史で満たされていく。


  隆史は今、仕事をしている。
私も、ちゃんと主婦業をしなくちゃいけない。
分かっているのに、頭はちっとも彼から離れない。
 いつ頃からなんだろうか?
私の心の全てが隆史に染まってしまったのは。
彼がいない生活なんてできない。
もう、彼なしでは生きていけない。
どんどんと、浸食されていく心と体。
抜け出せない恋心。
抜け出したくない恋。
「隆史」
気がつけば、唇が彼の名前をつぶやいてしまう。
家事をしながらも、心はソレだけで満たされている。
  どんどんと、隆史以外のモノが排除されていく私の思考。
それに伴う行動も、ワンパターンしてしまう。
隆史以外に何も考えられないから、想像しては嫉妬しての繰り返し。
結局、結婚してみたものの、私は何一つ成長なんてしていないんだ。
隆史が帰って来るまで、ずっと不安で仕方がない。
彼は今、どんな女性とお喋りしているの?
どんな風に肩を寄せているの?
そんな醜い嫉妬ばかりしてしまう。
いい加減、ホストの女なんだと自覚しなきゃいけないのに、わかっていて
も心が追いつかない。
ううん、隆史を好きになればなるほど、比例していく嫉妬と猜疑心。
このままたどり着く先は、何があるのだろうか?
私の幸せは、一体どこ?
隆史とこのマンションの一室にずっと一緒にいれればいい。
それが、本音だ。
仕事なんか行かないで、外になんて出ないで。
私のいない場所に、私の声以外聞かないで欲しい。
私以外の女を見つめないで欲しい。
願いは昔から変わらない。
結婚して、仕事をしなくなってから、その思いはよけいに募るだけ。
他に紛らわせるような何かがないと、私はドンドンと隆史という底なし沼
に心を奪われてしまう。
どうしようもないくらい、足掻いても足掻いても抜け出せない恋という甘
い甘い痛い沼。
 憂鬱な気分になってしまう。
毎朝隆史を見送ると、家事に追われる生活。
だけど、家事をしながらでも想像するのは隆史だけ。
いつでも思うのは隆史だけ。
私はそれでいいのだろうか?
隆史も私と同じように、私が願うように、この部屋に私を閉じこめようと
している。
閉鎖的な恋愛。
結婚して、さらに束縛が強くなった。
うれしいけれど、私にも束縛させて欲しい。
一秒たりとも、彼の時間を他の人間に渡したくない。
ソレは我が儘でしかないのだろうか?
どうしても、二人でずっと一緒にいるのは不可能なんだろうか?
答えなんて、わかっている。
いい加減、大人なんだもん。
生活しなきゃいけない。
そのために働かなくちゃいけない。
わかっている。
お互いがお互いを監禁したところで、何も産まれないし、死を待つのみだ
ろう。
そんな生活がしたいわけじゃない。
心中したいわけでもない。
だけど、どうしても離れたくない。
離れていたくない。
もっともっと、隆史を貪欲なまでに求めてしまう。
この体も心もすべて、隆史に捧げる。
未来永劫私の思いは隆史しか愛さない。
だけど、ソレを伝えるにはどうすればいいのかさっぱりわからないんだ。
たくさん愛の言葉を交わしても、どれだけ肌を重ねても、この思いの全て
が伝わるわけじゃない。
愛してる。
愛してる。
愛してる。
愛してる。
愛してる。
しつこいくらいに愛を確かめ合った。
何度も修羅場をくぐってきた。
他の人と付き合ったりしても、彼じゃなきゃダメだった。
そして、隆史も私じゃなきゃダメだったと言ってくれる。
わかってる、私は愛されてるんだろう。
でも、物足りない。
この飢えたような乾きはどれだけ愛されれば癒されるのだろうか?
満足できるのだろうか?
  もっと愛を下さい。
隆史がいなくても、不安にならないくらいの愛を。
もっと、私に強さを下さい。
隆史じゃなきゃダメな私に、少しでも離れている時間を幸せに思える強さ
を。
どんな願い事も神様は叶えてはくれない。
そもそも、神様なんているのだろうか?
私にはわからない。
隆史が神で、隆史が全てで、隆史だけが私を支えている。
こんな生活をいつまで続けるつもりなんだろうか?
苦しいくらいに、愛してる。
もう、何もわからない。
世間も、友達も恋愛も何もかもが私の中で崩壊に近づいている。
隆史以外、見えなくなってしまう日が来るだろう。
どんどんと狂っていく精神。
愛してるのに、これだけ思っているのに、隆史しか見えていないのに、外
に出れない。
ソレを求めたのは私と隆史。
だけど、今は少し辛い。
なぜ、こんなに隆史を好きになりすぎてしまったのだろうか?
ホントに盲目なまでに、彼しかいない。
誰を敵に回しても、何を不必要としても、彼がいればそれだけで私は生き
ていける。
ダメなんだ。
これじゃあ、大人になったわけじゃない。
成長してるわけじゃない。
人間として、どこかが狂い始めている。
まだ、そう気づいてるだけまともなのかもしれない。
そのうち、私は何も不安を抱くことなく、隆史だけの世界にのめり込んで
いくんだろう。
そうなるのが怖い。
  私の時間は隆史がいないと動かない。
ねぇ、いつからこんなに私は弱くなったのだろうか?
泣かないと決めていた。
もう、涙なんて乾れ果てたと思うくらいに中学の最後、太郎先輩が亡くな
った時にに泣いた。
でも、彼に出会って、恋をして私は泣き虫になってしまった。
乾れたと思った涙は、止めどなくあふれ出て、もう今度は止まらない。
私の恋は、いつ愛に変わるのだろうか?
穏やかな日だまりみたいな暖かな安定感。
欲してやまないのに、いつも不安定なまま。
 夜が深くなればなるほどに、隆史を思って悲しくなってしまう。
彼を待つのが楽しみなのに、隆史が帰って来るのがうれしいのに、その瞬
間まで淋しくて辛くて憂鬱になってしまう。
 もう、ダメなくらいに隆史がいないと生きていけない。


「ただいま」
今日も彼は明け方に帰宅した。
「お帰りなさい」
私は極上の笑顔で隆史を受け入れるの。
ホントに淋しかったから、心から帰りがうれしくなる。
感情の起伏が激しすぎて、自分でも笑えるくらいに、隆史がこの部屋にい
る安心感。
「今日、何してた?」
悪気なんてないんだろう、質問だったけど、心が痛くなってしまう。
「別に何もしてないよ」
したくても、させてくれないじゃん。
習い事も、仕事も、ダメなんでしょ?
私を束縛して、きつくきつくがんじがらめになるまで束縛するくらい、隆
史は私を愛してる。
うん、そうだよね。
だから、私はその愛を受け入れるだけ。
どれだけ辛くても、悲しくなっても、受け入れる。
愛されてると、実感できるなら、何でも受け入れるよ。
「ごめんな、仕事が落ちついたら、遅くなったけど二人で新婚旅行でも行
こうか?
どこがいい?」
旅行?
隆史と、二人で?
「どこでもいい!」
あなたと二人でいられるなら、どこでもいいんだよ。
隆史がいるなら、どんな場所でも私には幸せな場所になるから。
「どこでもいいって、明日でも旅行会社に行ってパンフレット貰って来い
よ。
いっぱい我慢させてしまった分、佳織の好きな所に行こう。
アメリカでもヨーロッパでも国内でも、どこでもいいよ。
1週間くらい、ゆっくり二人きりを過ごそう」
隆史の提案はあまりにも素敵すぎて、もう想像するだけで卒倒してしまい
そうだ。
「ずっとずっと一緒にいられるんだよね?」
帰りを待つ必用もない。
彼の呼吸をいつも一秒でも長く感じていられる。
仕事とか、何も気にしなくてもいい。
そんな幸せ。
私の望む幸せ。
不安を感じない日々。
どれだけ恋いこがれていただろう?
そんな時間を過ごせるんだ。
「今でもずっと一緒だろ?」
…………。
違うよ。
苦笑いしている隆史に私は、軽く微笑み返すしかできなかった。
彼は知らない。
隆史が働いている間、私がどれだけの不安や、寂しさと戦っているのか。
そして、苦しいと思いながらも、愛されてるが故に耐えられるって事も。


 隆史からの素敵な提案のおかげで、それからの日々を私は楽しく過ごす
ことができた。
毎日のように色々な旅行代理店に行ってはパンフを貰って帰り、どこがい
いか、写真や内容を見ては楽しんでいる。

「和美ならどこがいい?」
遊びに来てくれてる和美にも何度も同じ質問をするくらいに、私は浮かれ
ていた。
「だから、私はまったり温泉派だってば。
佳織は海外がいいんでしょ?」
ロマンティックにヨーロッパに行くか、遊び三昧でアメリカもいいな。ニ
ューヨークなんて楽しそうだし、ホントどこがいんだろう?
「何か、今からワクワクしちゃって、大変だよ」
ホントは場所なんてどこでもいいんだ。
国内だろうが、海外だろうが。
隆史とずっと一緒にいれる、それだけで私は幸せを感じられる。
ホントは隆史が無理に時間を作ろうとしてくれてるのもわかってる。
ホントは仕事が忙しくて、新婚旅行どころじゃないだろう。
コロンを開店したばかりなのに、長期休暇なんて大丈夫だろうか?
でも、私は遠慮することができなかった。
ここのところ、隆史がいない時間を過ごすのが苦痛で、淋しくて仕方なか
ったから、ホントにうれしかったの。
隆史が無理してるのをわかっていても、うれしかったから、断るなんてで
きなかった。
「ホントにうれしそうだね。
長い間延期されてたんだから、思い切り甘えて世界一周とかでもいいんじ
ゃない?」
クスクスと笑いながらの和美。
「そうだね」
ホントはわかってるよ。
隆史にはそんなに時間の余裕がない。
だから、国内でいいの。
パンフレットを観て、喜んでる私。
それを感じて、隆史が安心するから、余計に私ははしゃぐんだ。
私に寂しさを感じさせている罪悪感から、旅行を言い出した隆史。
ちゃんと私の事を考えてくれているとわかっただけでも、もう満足だなん
て言ったら、隆史はどう思うのだろうか?
呆れて苦笑いをするのかな?
そんな表情すら、愛しいと思うほど、隆史が大好き。
「で、結局どこに決めてるの?
佳織の事だから、どうせ候補は決まってるんでしょ?」
さすが、長年の友達和美ちゃん。
よくわかってる。
「国内なら沖縄がいいなって思ってる。海外だとイタリアとか行きたい。
どっちでもいいんだよ、隆史の都合に合わせるから」
彼が、何日も休みを取っていたなら、イタリアに行きたい。
でも、2泊とか3泊なら温かい地方でゆっくりと羽を伸ばしたい。
  少し遅れた新婚旅行。
隆史が新婚旅行を考えてくれてた事実だけで、私の心は幸せが広がる。
仕事ばかりの毎日で、仕事のことに集中してるんだと思っていたのに、ち
ゃんと私の事を考えてくれていた。
それだけ幸せになれるんだ。
単純なのかもしれない。
でも、ホントにうれしいんだもん、仕方ないじゃん。
こうやって、私はホント隆史にいつまでも一喜一憂してしまう。
バカなのかな?
安定した恋愛ができないのかな?
嫉妬したり、ドキドキしたりいつまでも続くんだ。
結婚したってのに、私の心はいつまでたっても彼に恋してるまま。
不安定な恋の上に成立している結婚。
周りから見たら、紙切れ一枚の関係でも、私にとっては神聖な契約。
神様の前で、愛を誓ったんだもん。
誰にも隆史を渡さない。
「いい顔してるよ、佳織」
いきなり和美に褒められて、思い切り戸惑ってしまった私。
「え?」
「なんか、凄く幸せそうな顔している。
結婚した直後くらいに幸せって感じだよ。
やっぱり、新婚旅行だもんね、そりゃ幸せで当たり前か」
少し落ちついたね、とでも言いたそうな和美。
ずっとずっと学生の頃から心配ばかりかけていた。
中学の頃、私は知り合いを亡くしてしまった。
そのときも落ち込んだ私を励ましてくれた和美。
そして同じ高校になって隆史に惚れた。
もっともタチの悪い男、本人にその気がなくても女が群がるような男。
そんな男に恋をした私をとても心配してくれた。
赤ちゃんを流産したときも、隆史と別れた時もずっとずっと側で見守って
くれた和美。
ホントに感謝している。
「いっつも、ありがとうね」
自分だって恋愛してるときは大変だろうに、それでも私を心配してくれる
和美に、私はいつも感謝するしかできない。
「何を今さら?
いつか、利子つけて返してもらうから気にするなって」
ケラケラと豪快に笑い飛ばしながら、和美はホントに自分の事のように新
婚旅行を喜んでくれている。
他の誰を忘れても、絶対に和美にはいいお土産を買って来なきゃ罰があた
るな。
なんて思ったりしながら、私は和美と楽しいお喋りを続けていた。





2004-2008©白雪姫-hime-