マイ・フェア・ボーイ
マイ・フェア・ボーイ

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1プロローグ 2 遅いけど初恋なんだよ! 3 うれしはずかし初体験 4 どうしようか? 5 大変なんだよ?! 6 好きなんだそれだけ
7 やったね初指名 8 枕営業 9 悪魔がやって来た? 10 二人の行き違い 11 突然の別れ 12初恋は実らない 13エピローグ

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7 やったね初指名


 咲子に会うと、オレはすぐに咲子の服を脱がせた。 
そしてそのまま抱いた。 
佳織を思いながら………。 

「どうかしたの?いつもの勇哉と違ってたから…」 
朝っぱらから、何してるんだよオレもこいつも。 
無性にイライラして眠れなくて、それで他の女抱いて、オレって最低。 
佳織がオレに隠したい事があっても、オレの今した事の方が酷い裏切りなん 
じゃないだろうか? 
別に佳織は直樹さんに抱かれたわけじゃない。 
ただ、彼の前で泣いていただけなのに………。 
「お前、彼氏いないの?」 
この罪を共有したくて、オレは咲子に聞いた。 
咲子は笑った。 
「何を今更!いるに決まってるでしょ」 
彼氏がいるのに、オレに抱かれてたのか? 
罪悪感はないのか? 
ああ、そうか元々オレってそういう人間だったんんだ。 
彼氏のいる女でも平気だったし、彼女がいる時だって違う女と平気でヤッてた。 
ホントだ、今更だよな。 
「で、勇哉は彼女できたとか?」 
「ああ」 
出来たよ。彼女。 
お前みたいにケツの軽い女じゃなくて、彼氏がいたら他の男と平気で寝ないよ 
うな、そんな女。 
 だからこそ好きになったのに、オレがこのまんまじゃ、そりゃ頼れない 
よな。 
「そっか、じゃあ私たちの関係は終わる? 
それとも、このまま続ける?どっちでもいいよ」 
そう。ヤリ友なんてホントヤルだけで、深いつながりなんてない。 
「お前さ、彼氏怒んないわけ?お前が他の男と寝ても」 
「だって、彼氏下手なんだもん。 
それに、Hだけがすべてじゃないでしょ? 
彼氏といると、私安らぐんだぁ」 
すごくうれしそうな顔をしながら、咲子は彼氏の顔でも思い出しているのだろう。 
「オレはイヤだ。彼女が他の男に抱かれるなんて」 
そう、他の男と喋ってるだけで、二人きりで会ってるだけで、むかつく。 
他の男に甘えてるなんて、許せない。 
佳織はオレだけのモノで、オレだけ見ていて欲しい。 
「あら、かなり本気みたいね。 
じゃあ、私は用も済んだみたいだし、帰るわね」 
ああ、やっぱりオレは佳織が好きだ。 
他の女を抱いてなおさらに、佳織への思いを実感するなんて。 
佳織に会いたい。 
佳織を抱きたい。 
佳織にキスしたい。 

オレはもう一度佳織の部屋へ向かった。 
今朝、チャイムを押す時の不安が、今はときめきに変わっている。 
佳織に早く会いたい。 
会ったらすぐに抱きしめよう。 
そして、もう何も聞かない。 
佳織が言いたくなる時が来るまで…。 

 ああ、それなのに、神様をオレを不幸のどん底へと突き落としてくれた。 
咲子を抱いた天罰なのだろうか? 
「はい」 
返事と共にドアが開き、その中から姿を見せたのは直樹さんだった。 
「なっっ?!」 
なんで、佳織の部屋から直樹さんが出てくるんだよ? 
「やっと佳織寝付いてくれたんだ。起こしたくないから外に出ないか?」 
直樹さんはオレを室内に入れずに、そのまま二人で直樹さんの車に乗った。 
車の中で、二人はまったく無言だった。 
 頭の中に、たくさんの疑問符がグルグルしている。 
佳織を寝かせたって、どういう意味? 
オレが出て行った後、佳織が直樹さんを呼んだのか? 
佳織は…この人に抱かれたのか? 
重苦しい沈黙を先に破ったのは直樹さんだった。 
「言っとくけど、佳織を抱いてないからな。 
ただ、泣きながら電話をかけてきたから、慌てて部屋まで行ったんだ」 
ホントに佳織を抱いていないのだろうか? 
オレが行った時、佳織はTシャツしか着ていなかった、あのままの姿だったとし 
たら、少なくとも佳織の下着くらいは見たよな? 
ああ、たったそれだけでもむかつく! 
佳織と二人きりで何を話してたんだよ? 
オレは返事もしないで、無言のまま直樹さんを睨んでいた。 
「到着したよ。305号。
この鍵で入ってて、オレ車置いたら行くから」 
学校近くのマンションの入り口で、鍵を持たされ降ろされた。 
ココ、直樹さんのマンションなのか? 
そのエントランスは綺麗に手入れされていて、中央には噴水まであった。 
家賃高そう。 
「あれ?待っててくれたんだ。ありがとう」 
車を止めて来た直樹さんが、エントランスの広さに驚いてるオレを連れて、自室へ 
と向かった。 
「適当に座ってて、飲み物入れるから」 
入ったその部屋は、驚く程閑散としていた。 
テレビにエアコン、ベッドにテーブル。必要なモノ以外、ほとんど装飾品がなかった。 
佳織の部屋は、たくさんの香水が並べられていたり、ブランドものが整理された 
ボードがあったりしたのに、この部屋には無造作に置かれたブランドものが、 
あるだけだった。 
「ごめんな、わざわざ家まで連れて来て。 
でも、外で話す会話じゃないから」 
麦茶をテーブルに置いて、直樹さんはオレと対面するようにソファに座った。 

「佳織から話しを聞いたよ。 
あの時話してたのは、佳織の昔の男の事なんだ…。
オレがつき合ってたよりも、ずっと以前に佳織の恋人だったヤツの話。
ただ、その事については、 佳織も喋りたくないみたいだから、オレの口から
は言えないけど。 
 ……………本気で佳織が好きなのか?」 
真剣に直樹さんがオレの目を覗きこんできた。 
「本気で好きだ」 
今まで、好きって感情がどんなものかすら知らなかったけど、オレは佳織が 
とっても大切で、誰にも触れさせたくないくらいに、好きだ。 
「だったら、浮気なんかするなよ」 
睨みすえながら直樹さんは鋭く、低い声で言った。 
 な? 
なんで浮気したのがバレてる? 
咲子との事だよな? 
「すっげっぇ安物の香水の臭いプンプンしてるぜ。
店の客も、佳織もそんな 香水は付けないよ。 
そのまま佳織に会うつもりだったのかよ?本気で好きなら、その辺きっちり 
してろよ」 
そんな事、思いもつかなかった。 
臭いで、浮気がバレるなんて。 
「でも、佳織が好きなんだ。 
やっとわかった、佳織じゃないとダメなんだ。他の女じゃ、オレは無理なんだ」 
直樹さんは苛立たしそうに、唇を噛みしめた。 
「それはお前の都合だろ? 
オレは今でも佳織が好きだ! 
勇哉がそんなんじゃ、オレがもらうよ?」 
やっぱり!! 
「あなたが佳織を好きなのは何となく分かってた。でも、佳織は…」 
佳織は……。 
その続きが言葉にならない。 
佳織はオレが好きなんだよな? 
オレの恋人だよな? 
でも、何かあったら直樹さんに相談してしまう。 
それでもオレはホントに佳織の彼氏なんだろうか? 
「佳織とつき合ってた頃、オレはアイツ以外抱かなかったよ。 
アイツが営業なら仕方ないって言っても、オレは誰も抱かなかった。 
そりゃ、売り上げはかなり悲惨だったけど、それでもホスト辞めてもいい 
くらい、佳織が好きだった。今でもその気持ちは変わらない。 
でも、アイツはホストを辞めると………」 
直樹さんは切なそうに眉根を寄せた。 
その顔には苦痛の色が混じっている。 
そして一度目をつむり、ため息をついた。 
「もういいや、好きにしろよ。 
オレも好きにする。なんかこういう会話って不毛だよな? 
ただ、あんまり佳織にのめり込まない方がいいぞ」 
何だろう? 
直樹さんがホストをやめると、佳織はどうなるんだ? 
それに、なんであんまりのめり込んじゃダメなんだ? 
さっぱり訳がわかんねぇ。 
「そんなに好きなら、なんで別れたんですか?」 
「佳織が好きだから別れた」 
はぁぁぁぁぁぁぁ? 
もっと、訳が分からなくなってしまった。 
好きなら別れないだろ? 
なんで好きなのに別れるんだ? 
オレなら絶対別れないぞ。 
わっけわかんない!! 
「佳織はオレと同棲してた時、オレにあんまり甘えて来なかったんだ。 
別れるちょっと前くらいからかな?やっとアイツが本音をオレにぶつけだ 
したのは」 
「だったらなぜ?」 
別れたの?と聞くつもりだったけど、ちょっと残酷な気がした。 
まだ佳織を好きだとはっきりと言ってのけた直樹さんが、佳織をフッたとは 
考えにくい。 
佳織は、どんな言葉でこの男と別れたのだろうか? 
どんな理由があれば、別れたくなるんだ? 
「オレの事はいいんだって! 
それより、佳織をこれ以上傷つけないでやってくれ」 
そんな事は、言われなくてもわかってるさ。 
オレだって佳織を傷つけたいなんて思わない。  
 ただ、オレはこの時、直樹さんが言ったセリフの本当の意味を知らなかった。 
佳織が何に傷ついているのか、昔の男の話題で、なぜ泣いてしまったのかすら、 
わからなかった。 




 少し気持ちが落ち着いて、オレはやっと眠りにつくことができた。 
直樹さんのマンションから自宅に帰り、そのまま寝入った。 
目が覚めた時は、もう夕方の5時だった。 
うわ! 
やべ! 
早く用意しなきゃ、遅刻じゃん。 
遅刻すると罰金3千円も給料から引かれてしまう。 
慌ててシャワーを浴びて、店に向かった。 
更衣室に入ると、ほとんどの人が出勤していた。 
「おはようございます!」 
直樹さんから借りてるスーツに着替えて、フロアの掃除をしていると、マス 
ターに呼ばれてしまった。 
「勇哉は客に電話してるか?」 
え? 
電話? 
そう言えば番号を聞いたり、メアドを聞いたけど、全然してなかった! 
「その顔はしてないみたいだな。 
来店してくれた翌日にお礼のメールとか電話をするのが、指名につながる 
一歩なんだぞ」 
ああ、そうか。 
連絡マメにしといた方がいいんだよな? 
でも、先週会った客とかって、逆にオレの事覚えてるんだろうか? 
ま、ランダムに適当にメールを打っとけばいいっか。 
軽いノリで客フォルダに登録しているメアドにメールを打った。 
『この前は来てくれてありがとう。オレ、すごく楽しかったよ』 
と、同じような内容で何件か送信した。 
フロアに戻ると、京介さんたちが楽しそうにお喋りしている。 
「お!いい所に戻ってきた。 
弘幸ってホントに彼女いないの?」 
え? 
「ああ、はい」 
「せっかくコンパしてもらおうと思ったのに。そうだ!お前は?」 
コンパって。。。 
そんなことしなくても、毎日たくさん女の子から電話やメールで忙しいだろうに。 
「おれ?いますよ彼女」 
その答えに、みんなが期待のまなざしを送ってくるのがわかった。 
「ちょっ、でもコンパって無理ですって!」 
「なんで?OL?それとも学生?」 
興味津々で質問されながら、オレは少し戸惑った。 
だって、ホストが普通の高校生と変わらない会話してるんだもん。 
なんか意外だよなぁ。 
「勇哉は佳織ちゃんにメッロメロだから、コンパなんて無理だと思いますよ?」 
みんなを見渡してるオレの代わりに弘幸が答えてくれた。 
それに過剰に反応したのは、京介さんだった。 
「佳織ちゃんとつき合ってるの?」 
今までのほんわかムードをコロリと真剣モードに切り替えて、何やらマジな 
感じがする。 
「もしかして、京介さんも佳織が好きなんですか?」 
イヤだよ、それ。 
直樹さんだけでも大変なのに、こんなにライバルが多いなんて………。 
「なわけないだろ?人の客に惚れるなんて、そんな無駄な恋愛しないって! 
ただ、佳織ちゃんとつき合うのって大変だろうなって…」 
その場にいた、他のホストたちもその意見に思いきりうなずいて、同意を示した。 
なんだ? 
その反応は………。 
「佳織ちゃんって酔うと、甘えるだろ? 
アレ、他の男にもしてると思うとキツイよなぁ」 
「わかる! 
この前だって、トイレ行く時に手をつないでって、言われて、一瞬グラッと 
したもん。 
別に恋愛感情ないけど、普段はあんなに優しいのに、酔うと甘えて来るから、 
ちょっとビックリした」 
な、何ソレ? 
手をつないだ? 
佳織の手をつないだ? 
むっ! 
許せない。 
と、思った矢先、他のホストも口々に佳織の酔っ払いネタを言い出した。 
酔うと赤ちゃん語になるとか、とにかく、甘えモード全開になる事だけは 
はっきりした。 
いやだぁぁああ! 
佳織が他の男に甘えてる姿なんて見たくない! 
どんな風に甘えるんだろうか? 
見たい気持ちはあるけど、ソレを他の男が知ってるのはイヤだ! 
しかも、こんなに佳織に甘えられた男達がたくさんいるなんて……。 
ああ……………。 
がっくりと首を下げて落ち込んでしまった。 
「あれ?でも佳織ちゃんって直樹とつき合ってなかったっけ?」 
誰かのセリフをさえぎるように、京介さんがはっきりとこの会話を終わらせくてた。 
「それはかなり昔の話し! 
それよりも、そろそろ開店だろ?」 
その一言で、俺たちは時計を見た。 
もう8時だ。 
そろそろ同伴の客が来る時間。 
しかも今日は日曜日だから、いつもより早い時間からの来客が多いらしい。 
オレは携帯を見た。 
マナーモードにしていたけど、数件のメールが届いていた。 
さっき、ランダムに送信したメールの返事。 
『私も楽しかったよ! 
今日入ってるの?だったら店に行くね』 
真奈美ちゃんからのメールが、一番うれしかった! 
明確に今日来るって書いてある! 
もしかして、初指名? 
ちょっと、ドキドキだよな! 
 直樹さんが同伴客を連れて来た。 
オレは直樹さんが更衣室で用意している間、その席につく。 
「こんばんは」 
「あら、勇哉くんだった? 
この前はだいぶ酔ってたよねぇ。私も飲ませた一人だけど」 
うっ。 
またその話題っすか? 
オレは初日の酔っ払いを、口々に言われていた。 
その度に、さほど高くないプライドがさらに、低くなってしまう。 
「あはは!落ち込まないの! 
みんな最初はそうなんだから。直樹だって京介だってそうだったんだよ」 
「え?そんな昔から来てたんですか?」 
彼女は頬を軽くふくらませた。 
「うわぁ、問題発言! 
私がトシだとでも言いたいのかしら? 
2年くらい前からルージュには来るようになったのかな?」 
2年前。 

 そっか、丁度直樹さんと佳織が恋人してた時期と重なる。 
「当時の直樹さんってどんな感じだった?」
「うーん、今より生意気だったよ! 
客なんて興味ない!みたいな感じで、オレを好きなら店に来いよ!って調子だった」 
え? 
かなり意外!!! 
全然そんな風に見えないのに。 
「ああ、勇哉がついててくれたんだ?」 
噂のご本人登場で、オレはマジマジと見てしまった。 
この優しそうな男が、そんな自分勝手な発想をしていたのだろうか? 
「恵ちゃん、勇哉みたいなの好みだろ?」 
彼女は、クスリと笑った。 
「そうだね、なんとなく当時の直樹とダブル所はあるねぇ。でも、勇哉くんの 
方が素直そうだけどね」 
「そう意味じゃなくて、弘幸みたいなジャニーズ系アイドル顔より、ワイルド 
チックな顔の方が好きだろ?」 
おお、オレってワイルド? 
うーん、オレは爽やかなつもりなんだけどなぁ? 
周りから見ればそうなのかな? 
「勇哉さん、お願いします」 
まだ、ホストが余ってる時間帯なんだけど、タマには二人きりの時間をお客様 
に提供しようと言うマスターの方針で、前半タイムはほとんど指名ホスト以外 
はテーブルにあまりつかない事になっている。 
コレはこの店独自のシステムらしい。 
席を離れて、弘幸たちが待機している、待合所みたいな所に行って、再び携帯 
を見ると、直樹さんからメールが入っていた。 
『佳織と連絡取った? 
アイツ、フラれたとか騒いでたから、早く落ち着かせてやった方がいいぞ』 
フラれた? 
オレがいつ佳織をフッたんだ?? 
ケンカするたびに別れた別れないって、今まで一体どんなつき合い方をして 
きたんだろうか? 
あまり人の事言えた義理じゃないけど。 
いつも遠慮がちで、自分から会いたいとか言い出す事もないし、いつもオレか 
らの一方通行みたいな感じだし、どうもつき合いだしてから、ラブラブって感 
じを思い切り味わった事がないような気がする。 
そう言えば、会うのって毎回夜か早朝だし、たいがいアルコールが入ってるし、 
って、ソレは仕方ないか。 
佳織の職業から会う時間が遅くなるのは仕方ないって、わかってたことだ。 
オレもバイト始めたから、なおさらだよな………。 
でもそう言えば、さっきみんなが言ってた甘える佳織って、どんな感じなん 
だろう? 
つき合う前に数回二人で飲んだりしてたけど、佳織が酔うよりもオレの方が先に 
酔いつぶれてしまうんだ。 
ソレって、男としてどうなんだろう? 
ちょっと、情けないよな。 
色々と考えながら、オレは佳織へのメールを送った。 
『今朝はごめんな』 
それ以上、どんな文章を送ればいいのか分からない。 
やっぱり佳織が泣いた訳が気になったし、それにあまりこの話題に触れると、 
今朝やってしまった自分の浮気がバレそうだった。 
オレって、かなり器小さいよな…。 
彼女とケンカして、他の女と浮気に走るなんて、最悪じゃん。 
そりゃ今までだってあったけど、彼女って言っても、どっちが浮気かわかんな 
い程度の感情だった。 
やっと、本気の恋愛をしたとたん、急に今までのオレの仕打ちを反省してしまった。 
『私の方こそ、ごめんなさい』 
すぐに、佳織からの返事が届いた。 
俺たちのつき合いは、まだ始まったばかり。 
これから色々あるだろうけど、オレは佳織とずっとつき合っていきたいし、ホスト 
としても、ちょっとは頑張りたい! 



 そうこうしてる間に、ボーイが待合所にオレを呼びに来た 
「勇哉さん指名入りました」 
オレは初の指名に心躍らせながらテーブルについた。 
「いらっしゃいませ!真奈美ちゃん」 
真奈美ちゃんはニッコリ笑顔で、オレを受け入れてくれた。 
「メールもらって嬉しかったから、来ちゃった」 
「何、飲みます?」 
「う〜ん、今日はボトル入れるよ。 
どうしよう………ブルーにしようかな?」 
ブルー? 
ブルーって何だ? 
「マーテルのコルドンブルー」 
マーテルって名前くらい知ってるけど、ヘネシーと並ぶ銘酒だよな? 
やった! 
オレはボーイを呼んで、ブルーを頼んだ。 
すると、周りからボトルサンキューコールが鳴り響いた。 
店にいるホスト全員が、コールする中ボトルとタグが届いた。 
「真奈美ちゃんって書けばいいのかな?」 
真奈美ちゃんはうなずきながら、オレからペンとタグを取った。 
「どうせなら、真奈美&勇哉って書いちゃおうよ! 
なんか、勇哉くん専属って感じでしょ?」 
なるほど! 
他のホストがついても、タグを見ればすぐにオレの客だと分かる! 
「オレさ、すっげぇ感激! 
実は初指名なんだ!!」 
真奈美ちゃんは処女を奪った気分だと、妙に喜んで、さらにワインまでお 
ろしてくれた。 
さい先いいじゃん! 
「今日は特別だからね! 
今度からはこんなに無駄使いせずに、なるべくたくさん通えるようにしな 
きゃね」 
「うん」 
オレはその気持ちがうれしくて、大きくうなずいた。 




2004-2005©白雪姫-hime-